1.コメダ珈琲店=ファミレス×高級コーヒー
コメダ珈琲店。大人気です。
どうしてなのかを考えるために、
甘いものフリークの同僚と新木場のお店に伺いました。
休日の午後だったのでほぼ満席でした。
でも、とても落ち着いた雰囲気です。
コーヒーもおいしく、人気商品のシロノワールは
ソフトクリームがすごいボリューム。
なるほど人気なわけです。
2.ファミレスのスタバだね、これは…
かわいいブーツグラスにクリームたっぷりのメロンソーダを
飲み、さらにシロノワールもほおばる同僚のひと言。
なるほど、ファミレスに高級コーヒーがプラスということか。
確かに。サンダルでも来られる気安さと
いつまでも居られる心地よさはファミレス。
そこにファミレスにはない高級なコーヒーがあると
考えるとガッテンかもしれません。
(商品写真は珈琲所コメダ珈琲店ホームページより)
![コメダ珈琲店](http://concept-restaurant-marketing.com/wp-content/uploads/2018/12/コメダ珈琲店舗と商品-1024x365.jpg)
3.コーヒーは高級品から手軽な飲み物の時代に
昭和時代にはコーヒーは喫茶店で300円~400円出して
飲むものだったと記憶しています。
ところが1980年代にセルフサービススタイルの
ドトールコーヒーが出現して一気に変わりました。
低価格でありながら気軽においしいコーヒーが
飲めるようになったのです。
その後、グラフのようにさまざまなコーヒーチェーンが
参入し、現在のような活況となっています。
一方で人のよさそうなおじさんが一杯ずつ淹れてくれる
街のコーヒーショップは長期にわたり減少を続けています。
![コーヒーショップ市場規模推移](http://concept-restaurant-marketing.com/wp-content/uploads/2018/12/1チェーン専門店.jpg)
4.ファミレスからも消えた本格コーヒー
ファミレスでコーヒーを飲むためには、もはや
ドリンクバーでボタンを押して飲むしか方法はないようです。
そのかわりドリンク全てが自由に飲めて
200円~400円程度と「お買い得」です。
1990年代のバブル崩壊後のデフレの中で
ドリンクバーは始まったようです。
かつてはお姉さんがコーヒーサーバーを片手に
「おかわりいかがですか」と声をかけてもらった
ような記憶があります。もはやなつかしい思い出です。
おいしいコーヒーを飲みたい人にとっては、
ファミレスはもはや選択肢には入っていないと思います。
気軽な食事とおいしいコーヒーが飲める場所という
ポジションがすっぽりと空いたわけです。
ここにコメダ珈琲店が入ってきたと推測します。
![ファミレスのドリンクバー](http://concept-restaurant-marketing.com/wp-content/uploads/2018/12/ガスト+ドリンクバー価格-1024x195.jpg)
5.セブンカフェがコーヒーの嵐をよんだ
マクドナルドの100円のコーヒーは衝撃的でした。
低価格なのにおいしいコーヒーが出てきたと思いました。
しかし、さらに衝撃的だったのは2013年に
販売が始まったセブンカフェ。100円で淹れたてのコーヒーの
持ち帰りができ、しかもおいしい。
私の事務所の近くに仲良く2店並んでいましたが、
マクドナルドが閉店してしまいました。
コーヒーのせいだけではないと思いますが。
セブンカフェはファストフードだけでなく
缶コーヒーにも大きな影響を与えたようです。
グラフにもあるように缶コーヒーの売上額は
2013年を境に低迷しています。
一方、セブンカフェは2018年には年間11億杯に迫ると
予測されています。おいしいコーヒーがさらに
低価格で飲めるようになってきました。
![缶コーヒー市場規模推移](http://concept-restaurant-marketing.com/wp-content/uploads/2018/12/セブン缶コーヒー@.jpg)
6. 増加する日本のコーヒー消費
日本のコーヒー豆の消費量は少しデコボコは
あるものの増加しています。特に2013年以降は
セブンカフェの影響もあるのか顕著な増加です。
また、日本人はポリフェノールなどの健康効果に関心が高く、
コーヒー消費量の増加の要因のひとつではないかと思います。
これに関連してコーヒーではない「カフェイン飲料」の
一時的な多量摂取による死亡事故が2017年に起きたことで
この年の消費が減少したと言われています。
しかし、欧米に比べると消費量はまだ多くはないようです。
今後もまだ成長の余地はあるのかもしれません。
いずれにしろ、コーヒーチェーンやコンビニカフェの活躍で
コーヒーを飲むという文化が日本人にも深まってきました。
![日本のコーヒー国内消費量推移と世界の一人あたりの消費量](http://concept-restaurant-marketing.com/wp-content/uploads/2018/12/消費量+ひとりあたりコーヒー-1024x818.jpg)
7.ポジショニングだけではないコメダ珈琲店
「珈琲所コメダ珈琲店」は喫茶店が大好きという名古屋の人が
支持するスタイルで、今や全国に790店舗、
売上高も670億円までに成長しました。
コーヒーを飲むという文化の深まりによって、
安らぎというような付加価値があれば高価格のコーヒーも
受け入れられるようになりました。
ファミレスは食事プラスコーヒーというポジションから
食事プラス低価格ドリンクというポジションに移りました。
この空いたポジションにコメダ珈琲店が入ったと考え、
推定も交えてポジショニングマップを作ってみました。
![コメダ珈琲店店舗数と売上高推移](http://concept-restaurant-marketing.com/wp-content/uploads/2018/12/コメダ珈琲店店舗数+売上高@@-1024x321.jpg)
しかし、成長市場とはいえプレーヤーの多いコーヒー市場です。
ポジショニングだけではなく、勝ち抜くための戦略や戦術は
もっと練られたものだと思います。
内装は木をふんだんに使い落ち着いたイメージに。
商品は人気のシロノワールをはじめとする
豊富なパンメニューを提供。
サービスでは一日中でもいられるように
新聞や雑誌を各種取り揃えています。
多くの知恵と工夫が注ぎ込まれて
人気のお店になっているのだと思います。
![コーヒーとフードのポジショニングマップ](http://concept-restaurant-marketing.com/wp-content/uploads/2018/12/@181003コーヒーポジショニングマップ-1024x706.jpg)
8.たとえばアルコール+本格コーヒーのビジネス
ポジショニングマップで考えると
新しいコーヒービジネスがある気がします。
一杯ずつていねいに淹れるハンドドリップスタイルが
サードウェーブと呼ばれ、世界中で注目されています。
ハンドドリップであれば500円~1,000円の
高い価格で販売できると思います。
たとえばアルコールとの組み合わせはどうでしょうか。
居酒屋などの料飲店市場はグラフのように
少しずつ減少しています。
そういえば、飲み過ぎてベロベロになっている昭和の
お父さんのような人を見かけなくなりましたね。
しかし、流行りのチョイ飲みのように軽く飲むことには
需要があるようです。
ここで異分野でもあるコーヒーと組み合わせると
新しいコーヒー市場が生まれるかもしれません。
一般的にアルコールを飲ませる店では、コーヒーメニューは
ないか、あっても本格的なものではありません。
高級なワインかウイスキーを少し飲んで、
その後本格的なハンドドリップのコーヒーを飲む。
自分のひとときを楽しんだり、
友人と語り合うことなどもできる「バー&コーヒー」の
ような新ビジネスもあるのではないでしょうか。
などなど…。ポジショニングで考えると
ビジネスチャンスが見えると思います。
![居酒屋・ビヤホールの市場規模推移
ワインとコーヒーのポジショニングマップ](http://concept-restaurant-marketing.com/wp-content/uploads/2018/12/料飲店+マップACワイン+ドリップ@@-695x1024.jpg)
<参考資料>
「なぜ、コメダ珈琲店はいつも行列なのか?」 高井尚之著 プレジデント社刊
「ドル箱コーヒー市場争奪戦」eビジネス新書週刊東洋経済
「戦略は『1杯のコーヒー』から学べ」 永井孝尚著 (株)KADOKAWA刊
「Weekly Report」 江南ロータリ―クラブ 2013年11月14日