ニッチな飲食店になるまでには物語があったはずです。そこにはだれか重要な人物がいたのではないでしょうか。ニッチにまつわる「人」に焦点をあてること。これによってニッチが際立つはずです。

●シェフには立派な経歴があった

 私の身近なところの話です。
   
 シェフは遥か遠いアジアの国から一人で日本にやって来ました。一人で働いていたため、シェフのくわしい経歴は周囲の人もよく知りませんでした。
   
 気になっていろいろと話を聞いてみると意外な経歴がわかりました。出身国の有名レストランでシェフとして働いていただけではなくて、シェフを目指す若者たちの学校で先生までしていたことがわかりました。卓越した専門技術があったんですね。なるほど、おいしい料理の理由がわかりました。
   
 そうなるとシェフからニッチな情報がたくさんでてきました。シェフの生い立ちや料理へのコメントをWebサイトやSNSに掲載すると確かな手応えがありました。

●「人」に焦点をあてる3つのステップ

 ニッチな飲食店ならばシェフが重要な役割を果たしているはずです。その「人」に光をあててみたらどうでしょうか。ニッチの情報が深まるはずです。

 もちろんニッチの発案者が経営者なら、なおさら熱い情報があるはずです。「人」に焦点です。
 いまのところの浅い経験ですが、ステップは3つだと思っています。

ステップ1:その「人」がもつニッチの情報を確認する。その情報を理解する必要があります。本人は当たり前と思っていることも、ほかの人には「へぇ、スゴイ」と思う情報かもしれません。

ステップ2:物語として話す。物語で覚えた話は人の頭のなかで長く記憶されます。タイタニック号が沈没したときに有名ブランドのバッグが人の命を救ったと言われる話をご存じの方も多いかもしれません。ストーリー・マーケティングとも言います。

ステップ3:スターとして紹介する。タレントの売り出しプランと考えてもいいですね。プロフィールに番宣用のポートレートも用意したり…。意外にも歌が上手で歌手デビューってことになったりして。なんだか楽しそうです。

●ニッチな飲食店の成功戦略に五番目が加わった

 ニッチな飲食店で成功するための方法論をいくつかブログでお話してきました。あらためて、かいつまんでお話しすると以下のようなことです。別ページもご覧ください。
   
1.ニッチを明確にする。「どうしてもこの店でないとダメ」とお客さまに言われるようになることです。「満席か、じゃヨソ行こう」と言われるようなら本当のニッチではないかもしれません。
  
2.店名でニッチを表現するニッチな飲食店に広告予算はありません。ニッチの内容をすぐに理解できる店名が必要です。筋トレファンのための「筋肉食堂」。しょうが料理の「しょうが」。検索でも効果があります。
  
3.価格戦略を重視する真にニッチであるなら高価格でもお客さまが集まります。ニッチな飲食店はニッチであるため、たくさんのお客さまを集めることはできません。店を維持するための適正な価格設定が必要です。
   
4.ニッチに関する情報を提供する。情報を徹底して収集し、それをお客さまに提供しましょう。情報の発信はWebサイトやSNSが中心です。これが集客のポイントです。つまり「コンテンツ・マーケティング」です。
   
 今回はあらためて「人」に焦点を重要な要素として加えます。
5.「人」に焦点をあてる。ニッチ情報の発信源がだれであるかを伝えることです。これによって店を身近に感じてもらえます。またニッチ情報の信用度も高まります。

●他にもたくさんあるはず

 番外として「集積化」があります。高田馬場のミャンマー料理店群、月島もんじゃストリートの100軒近いもんじゃ焼き店。同じ料理の店が集まると強くなれます。餃子や焼きそばの街もあります。集積化がニッチな飲食店の成功戦略なのか…。まだ、よくわかりません。

 さらに「元祖メニューの店化」もあります。元祖メニューを開発して認められれば、だれも近づけません。ポークカツレツの銀座煉瓦亭、麻婆豆腐の四川飯店…。ニッチです。しかし元祖メニューはがんばれば開発できるものなのでしょうか…。これもよくわかりません。

 成功戦略は、まだまだたくさんありそうです。しかし、うまく発見できていません。一生懸命考えて、調べていますがモヤモヤばかり。
    
   
「大男、総身に知恵が回りかね」でしょうか…。…オイラ、身長160センチ。「小男もやっぱり知恵が回りかね」ですね。

ニッチな飲食店の成功戦略