いい質問です。そもそも「ニッチな飲食店のマーケティング企画室」なんてヘンテコな名前を名乗っていながら、ニッチな飲食店についてちゃんと説明してませんでした。失礼しました。
「珍しい飲食店です」ぐらいでは納得できませんよね。たとえばですが、「アフリカのトーゴという国の料理店みたいなお店です」だとわかりやすいかもしれません。(東京・赤坂に実際にあるお店です。)「で、他には?」と聞かれると、「あるんです、いっぱい」。どうやって紹介したらいいのか悩みます。
1.世界の国からやってきた
先述のアフリカ・トーゴの料理店もそうですが、東京には、世界の国からやってきた珍しいレストランが数多くあります。代々木上原にあるブータン料理専門店。ブータン国は人口75万人、面積は九州とほぼ同じぐらいの大きさ。皇室外交や幸福度の高い国として知られていますね。でも、行ったことのある人は少ないはずです。料理がどんなものかもわからない。となるとニッチな飲食店ですね。
世界の国からやってきた料理店は、注意して探していると見つかります。ちょっとした繁華街の裏道や2階などに店を構えていることが多いようです。「こんな国あった?」と思うようなお店を発見するとチョット興奮します。
私の知る限りでは、「東京レストランサーチ」(株式会社イーフード)が、世界の国々の料理店について最も詳しく掲載されていると思います。約200ヶ国(!)の情報があり、見ているだけで旅行気分になれます。
2.ひとつの食材限定
ひとつの食材だけを専門にするお店。ねらいがシャープ。わかりやすいですね。たとえば、神田にあるアボカド専門のレストラン。アボカド料理はメキシコ料理店などでよく出てきます。しかし。アボカド専門のレストランとなるとほとんどありません。
アボカドの輸入量は10年前に比べると約3倍になっています*1。消費量が急速に増加。家庭の消費量も増加しているはずです。アボカド好きの奥様たちや主夫諸氏は、メニューのバリエーションをもっと増やしたいと推測できます。専門料理店の新しいメニューを参考のために食べてみたいと思っている可能性、大です。
家庭での消費量と飲食店の出現率とのアンバランスを発見すること。私としてはビジネス発見のチャンスではないかと思っています。しかし、成功事例がまだ発見できていません。飲食店市場としてないのか、ただ開発ができていないのか。これは調べてみる必要があると思います。
*1 アボカドの輸入実績:平成19年約26,500トン、平成28年73,900トン(出典:「神戸税関」平成29年発表 神戸、横浜、東京、川崎、大阪、その他の港の輸入実績量)
3.単品メニューで勝負
これもわかりやすいです。マーケティングで重要なターゲット、セグメント、ポジショニングの3点セットが明快。なのでニッチな飲食店のなかでも、成長機会の大きい分野だと思います。
最近、人気の中国の蘭州牛肉麺のお店。単品メニューです。麺の太さのバリエーションが10種類。サイドメニューもありますが、基本的に単品メニューの提供です。
心配性の方は、「ひとつのメニューで大丈夫なの」と思われるかもしれません。しかし、すでに成功事例があります。街中にあふれる牛丼店。100年前には、牛丼はニッチな食べ物だったはずです。「吉野家」は、食べ物としての完成度を高め、24時間営業や多店舗展開をして、単品メニューで成長しました。いまや世界的な規模の飲食店となり、約4,000億円にもなる牛丼市場に発展しました。
ラーメン、餃子など単品メニューで大きくなっている飲食カテゴリーは数多くあります。これからもニッチな飲食店から成長するビジネスが生まれると期待できます。
4.どうしてもレストラン
「どうしても」は、たとえば宗教上の理由です。来日するムスリム(イスラム教の人々)観光客、特に戒律の厳しいインドネシア、マレーシアの方々の食事は限られたところでしか食べられません。
せっかく日本に来たのだから、日本のラーメンが食べたい。そんな希望にこたえるお店が台東区を中心にいくつかあります。店内では、ラーメンフリークの日本の方もみかけますが、インドネシアなどから来たと思われるお客さんでいっぱいです。
また、ユダヤ教徒の食事には、戒律に従ったコーシャ料理が必要です。こちらもイスラエル料理専門店でないと食べられません。
もうひとつの「どうしても」はアレルギーだと思います。対応する飲食店は、アレルギーに関する食材が多岐にわたるようで、あまり見つけられません。グルテンフリーのメニューを提供するお店などたまに見かけます。しかし、アレルギー対応の専門店は少ないようです。
アレルギー症状をもつ方にとって切実な問題だと思います。外食産業全体で、もっと精力的に取り組むべきだと思います。わからないことがたくさんあります。もう少し調べてみたいと思っています。なにか、ご存じでしたら教えていただければ助かります。
5.切り刻んで小さくなったら
ニッチな飲食店について、いくつかのカテゴリーでご紹介しました。ニッチなカテゴリーはもっとたくさんあります。マクロビなどの健康食、アスリート向け、テーマパーク型、インスタ映え、レトロスタイル、趣味特化…など切り分けていくとどこまでも。
ニッチなわけですから切り刻んでいくと、どこまでも小さくなるわけですね。ここがポイント。そういうことでいいのか?だと思います。対象となるお客さまの数は少なくなるわけですから、ビジネスとして成立しないじゃないかということです。
しかし、もう少し見方や考え方を変えるとさらに違う局面が見えてきます。先日のブログにも書きましたが、小さな市場、つまりニッチな飲食店でもうまくいっているお店もあります。いままだ、ここは研究中です。
詳しくはまた、後日お知らせしたいと思います。「…大丈夫です。もうほとんどできてますから…」。締め切りの守れない漫画家のようなセリフですね(^_^)。