ニッチ教の狂信者です。「ニッチの時代になる。なるはずだ。なるべきだ。」と鼻息ふんふんです。
 ニッチの時代の実現のために、頭にハチマキしてがんばっています。でも議事堂まで行進して実現しようなどとは考えていませんよ。

 ニッチであることが大切です。生態学ではニッチを生態的地位といっています。生き物として独自のポジションを確保することが生き残りの最善の方法ということです。

 でも、「本当かどうか知らないけど、どっちにしろ、興味ナシだ」との声が聞こえてきそうです。私も「ニッチの時代だ」と叫んでいますが、叫ぶだけでは居酒屋で飲んだくれてるオヤジと同じです。

 ということで、少し調べてみました。結果は、やはりニッチの時代だと確信できました。しかし、一方でニッチ教の狂信者には悲しい衝撃の事実もわかってしまいました。

 「Googleトレンド」をご存じでしょうか。世界の国ぐにで、言葉がどのように検索されているかがわかるサイトです。その言葉(キーワード)の検索数が最も多いときを100として、時間ごとに相対的比率で表されています。しかも、これが国別でも検索できます。さすがGoogleですね。

 さっそく日本で「ニッチ」と「niche」で調べてみました。2004年1月から2021年1月現在までの状況です。さて、と見ると、ガーン! 上から金だらいと金づちが同時に落ちてきました。

 下図です。「ニッチ」も「niche」もほとんど変化がありませんね。すごく痛いです。ニッチの時代になっていません。どうしたことなのでしょうか。

 では、世界はどうなのかと、英語「niche」で検索してみました。これも下図です。いかがでしょうか。2015年ごろから見事に上向きです。ニッチの時代になってきていますよ。
 さらにアメリカでみると、ほぼ同様。2015年ごろから上昇しています。Googleの国なので当然かもしれません。

 カンタンなので思いつく国ぐにも調べました。ドイツ、ブラジル、インド、フランス、イタリアなどです。ドイツはドイツ語の「Nische」にするなど、それぞれの母国語で調べてみました。どれも見事に昇り調子です。やはりニッチの時代です。

 日本でニッチの検索が上昇しない原因として、コロナ禍で際立ってきた「日本のIT化の遅れ」が考えられないでしょうか。

 ニッチ・マーケティングやニッチ・ビジネスという言葉は、ネットの中でよく使われています。特にアメリカなどの海外のサイトによく出てきます。ニッチという言葉はネットやデジタルの世界との親和性が高いのだと思います。
 コロナ禍でのドタバタぶりをみると、ニッチの検索数が増加しないのは、日本のIT化、デジタル化が世界から遅れていることが要因ではとの疑念が頭から離れません。

 さみしいことだと思いながら、もう少し調べてみると、「niche」の検索に変化のない国がまだありました。イギリスです。理由はわかりません。「島国はすでにニッチだから」などと軽々しくは考えられません。
 また、中国語のニッチ「利基市场」はGoogleトレンドで調べることはできませんでした。さすがにGoogleでは無理ですね。ということで、本当にニッチの時代が来ているのかは、もう少し探ってみる必要はあるかもしれません。

 しかし、いずれにしろ世界全体ではニッチへの興味や関心が高まっています。さらに、これまでの日本のビジネスや文化がアメリカを追随してきたことを考えると、これからニッチの検索が高まっていくことは間違いないと思います。いよいよニッチの時代です。

日本でのニッチの関心を高める努力が必要ですね。もう1枚、ハチマキ巻きを巻きますか。…あぁ、なんだかアタマに大けがしている人みたい…。

日本とイギリスはニッチの検索数の変化が少ない
世界は2015年ごろからNiche(ニッチ)の検索が増加
世界全体でのnicheの検索数は2015年ごろから上昇
アメリカも2015年ごろからニッチの検索が増加
アメリカも世界と同様に2015年ごろから上昇
ドイツ、ブラジル、インド、フランス、イタリアでもニッチの検索は増加
ヨーロッパ、インド、ブラジルでもニッチの検索は上昇