コロナの時代です。「おいしいものでおなかイッパイに」では、飲食店に行く気にはなれません。どうしても、そのお店に行く理由がなければなりません。どうしても、とは価値です。存在する価値です。コロナの時代では、飲食店はその価値を築きあげなければなりません。大変な仕事です。しかし、「いいこと」があります。付加価値です。価値を築けば、付加価値になります。

コロナの時代

 付加価値と生産性には大きな関係があります。いま、総理大臣も大きな会社の社長さんも口をそろえて生産性といっています。でも、「ロボットやAI(人工知能)を使おう」とか「無駄を会議や残業をなくそう」という話になっていませんか。

 生産性をはかる重要な指標は労働生産性(円/人)*1です。ここで付加価値がでてきます。労働生産性は付加価値額÷総従業者数で計算できます。付加価値額の計算は複雑です*2。なので、ものすごく大ざっぱにいいますが、売上高から仕入額を引いたものでいいと思います。「なんぼの儲けなのか」です。

 生産性を高めるなら付加価値額を高めればいいわけです。方法は二つ。仕入れを減らすか売上高をあげるかです。ロボットにやってもらうのは仕入れを減らすためです。もうひとつの売上高を高めるには価値が必要です。高い価格で販売できれば売上高があがります。「日本中でこのお店にしかない特別なラーメン」ならば「なんぼでも払う」という人がでてきます。付加価値額があがるということです。付加価値額があがれば、生産性があがります。

 ここでもうひとつ重要で残念なニュースがあります。ご存じの方も多いかもしれません。飲食店ビジネスは、どちらかというと生産性が低いビジネスなんです。中小企業庁が発表した労働生産性の分布(下図)をご覧ください。飲食サービス業は299万円です。どちらかというと、どころではなく「最低の部類」です。なんとかしたいですね。コロナをひとつのきっかけとして、価値を築き生産性を高める時ではないでしょうか。

 「価値を築くなんて、大変じゃん」(山梨の田舎生まれなのに都会ぶってみました)。でも、大丈夫です。実は、「自分の価値」に気が付いていないだけなんです。自分のいいところをすべて知っている人なんていません*3。価値は探し出せば必ずあります。それを見つけて磨きあげることが大切です。いまがチャンスです。

中小企業の労働生産性

*1:もうひとつの指標は資本生産性です。資本生産性(%)=付加価値額÷(有形固定資産-建設仮勘定)×100で計算できます。「建設仮勘定ってなに?」ですね。すいません不得意です。検索してください。
*2:付加価値額=営業利益+役員給与+役員賞与+従業員給与+従業員賞与+動産・不動産賃借料+租税公課です。(中小企業庁「中小企業白書」)
*3:「自分のいいところに気が付いていない」については、ジョハリの窓という考え方があります。「ニッチな飲食店ビジネスの見つけ方」ページを参考にしてください。