1.4階のお店は来店客数が53%減る

 4階のお店の場合、立地指数は47%。立地指数とは、1階のお店に入るお客さまに対して、他のフロアのお店に入るお客さまの比率をさします。つまり、4階のお店では、1階にあるお店より来店するお客さまが53%減少。半分以下になるということです。

 日本マクドナルドで出店調査をされていた林原安徳氏の本を読ませていただきました*。地下2階から4階までの指数は以下の表のようになっています。4階となるとかなり低くなりますね。厳しい数字です。

立地指数

2.雑居ビル4階のチュニジア料理店

 日暮里のチュニジア料理店「クスクス」さん。私が好きなニッチな飲食店です。駅近くの古い雑居ビルにあります。お店はエレベーターであがった4階。エレベーターを降り、さらにその先、まがりくねった廊下の先にお店の入り口があります。

 アフリカのニッチな料理店で4階。お客さまを呼び込むのは大変かもしれません。しかし、ランチに伺ったら店内約40席がほぼ満席でした。創業してから12年とのこと、これなら人気店だと思います。人気の理由はお店に行くとすぐにわかります。

ニッチな飲食店、日暮里チュニジア料理店クスクス
ビルの入り口には、4階に誘導するためのたくさんの看板

3.「どうしても来てほしい」の工夫

 林原安徳氏の立地指数から考えると、4階のお店は入客率を1階にあるお店の約2倍にしなければなりません。そこで考えたのが1階のビル入り口に設置した看板と告知ツール。キラキラでくるくるまわる大型の看板とA看板(メニューなどを書いた三角の看板)が入り口周辺になんと3つも!あります。

 さらに、1階エレベーターの入り口にも、4階のエレベーター降り口にも壁にベタベタと案内ポスターなどのツールを貼りまくっています。ざっと見ると「きれいじゃない」と思う人もいるかもしれません。

美しいとはいえませんが、私は、お店のご主人の「来てほしい」という熱い思いがこもっていて好きです。なんとしても来店客を増やすという意気込みと創意工夫が見られるからです。4階にまで、お客さまに足を運んでいただくためには、生半可なことではダメなのだと思います。

4階の飲食店への集客方法
お店入口へのたくさんの誘導ツール

4.効きます。「ベタベタ」のツール

 以前、新宿のド派手ツール満艦飾のお店「ベルク」をご紹介しました。お客さまに来ていただくためのさまざまな施策を行うことでも有名です。その奮闘努力の活動は本にもなっています。

 このお店は「店中、ツールだらけ」といようりも、「ツール中、店だらけ」です。POPは「効果があるので付けている」とのことでした。POPや告知ツールをベタベタと貼ることは、新宿の「ベルク」、やこのお店「クスクス」を見る限り、入客率を高める効果があるということだと思います。

新宿ベルク
にぎやかなファサードの新宿ベルク

5.いつも考えているから作れる

 なんだ、いっぱい貼ればいいのかと思うかもしれませんが、これだけたくさんのツールは簡単には作れないと思います。長い時間、いつもお客さまやお店のことを考えているからできるのだと思います。「クスクス」ではほかにもイベント企画、メディア出演、セットメニューなど、考えに考えた企画やアイデアがたくさんあります。

 「このお店の人は一生懸命考えているなぁ」と思うとなんだか泣けてきます。年のせいでいでしょうか、今たまねぎを切っているからでしょうか(笑)。
 努力、一生懸命、思いついたことを実行してみる。この姿勢を続けるかぎり、それがお客さまに評価され、来店していただけるのだと思います。