1.コンテンツ・マーケティング。これからの主役
ニッチ・ビジネスのプロモーションにはコンテンツの提供が最適。
ところでコンテンツって何?ですよね。ここでのコンテンツとは自らが作ってお客さまに提供する「価値ある記事」のこと。その記事によってお客さまとの信頼を深めてビジネスに結びつけます。このことをコンテンツ・マーケティングといいます。これからのプロモーションの主役になるはずです。
2.飛び込み営業は死語になる
コンテンツ・マーケティングが注目されるようになったのは、これまでのような営業やマス広告が効かなくなってきたから。いきなり営業マンが会社に飛び込んきて「いいものあるんですよ。テレビのCMでご存じでしょ」とセールスされても、「じゃぁ買おうか」という人はもういません。むしろ、人の大切な時間を勝手に使わないでくれというのが普通です。買いたいものがあれば、まずは検索。これが今ですよね。
(1)Webサイトが優先
取引業者選定時の情報源という調査(株式会社リーディングソリューション)でも筆頭は企業のWebサイトです(下図左)。また、米国の営業活動も近年、外出して顧客と面談するよりも見込顧客に情報を提供する内勤の営業活動が増加しているようです(下図右)。営業マンの活動はお客さまが十分に情報を獲得してからの折衝にシフトしているようです。
(2)ネット広告の成長は天井知らず
広告も変わりました。マス広告からネット広告に大きく移行しています。新聞、雑誌の広告費は減少。テレビの広告も安泰とはいえません。ネット広告費は急上昇。2019年には、前年比120%の成長でテレビ広告費を追い越しました。この先、どこまで伸びるのか予測もできません。
イケメンが登場するカッコイイCMを見て「これ買おう」と思う人はもういません。まずはWebサイトですね。
(3)スマホなしでは生きていけない
外出に財布を忘れてもスマホは忘れません。メディア接触時間はスマホが急速に増加。テレビを見る時間は減少傾向。さらにはパソコンの接触時間さえも全体の中の割合では減少してきています。
必要な情報はスマホのWebサイトから取得するという時代。スマホと人間は一体化しています。もはや臓器ですか(^_^)。
3.「これって本当?」が悩みのタネ
Webサイトの情報を読みながら頭のカタスミに浮かぶのは、正しい情報なのか?ですよね。
マーケティング業界の大先生P・コトラーによると消費者が買いものをする時には5つの段階があるそうです。以下の図です。「当たり前のことを難しく言うなよ」というツッコミがあるかもしれません。
この中の情報探索が重要。方法は二つ。ひとつは内部探索=自分の知識や経験をひっぱりだしてくる情報。もうひとつは外部探索=Webサイトや友人など自分以外からの情報です。
Webサイトの情報が今や巨大です。しかし、果てしないフェイクニュースの山、悪意のある情報もいっぱいです。2016年に大手IT企業が医療系まとめサイトで不正確な記事を掲載して大きな問題になりました。誰でも書けてしまうWebサイトの記事。読む人からは信頼性が問われています。
4.ニッチ・ビジネスの専門知識が信頼に応える具体例
ニッチビジネスでは、必然的に専門的知識が積み上がります。お客さまには信頼できる情報源になると思います。
川崎の新百合ヶ丘駅近くに、しょうが料理の専門店「生姜料理 しょうが」があります。人気店です。行列もできます。(くわしい情報はブログ「豚しょうが焼き定食。あなたが注目するのは、豚?しょうが焼き?定食?」をご覧ください)このお店がニッチな飲食店のマーケティングにおけるコンテンツ・マーケティングのお手本だと思います。
お店では、高知県産のしょうがを使ったオリジナルのしょうが料理を提供。スタッフの方のユニフォームの背中に、しょうがの効能がいっぱい書き込まれています。しょうが愛にあふれたお店です。オーナーの森島土紀子さんは、「しょうがの女神」と称されています。さらに、しょうが料理のレシピ本をたくさん出版。すこしでもしょうがに興味がある方なら、一度は行って食べたい、会って話を聞いてみたいと思うはずです。
ニッチな領域の専門知識をお客さまに提供して信頼関係を築く。ニッチ・ビジネスにおけるコンテンツ・マーケティングの見本だと思います。もともと経営資源の少ないニッチ・ビジネス。コンテンツの提供は、しょうがのようにピリッとさせるだけでなく、効能も多いはずです。
左から:森島土紀子料理『冷えとり「生姜」健康術 』洋泉社/森島土紀子『たっぷりしょうがレシピ』亜紀書房/森島土紀子『生姜三昧』ブティック社/森島土紀子『しょうが女神の簡単おつまみ127 』小学館/森島土紀子監修『冷えとり生姜かんたんレシピ』世界文化社
5.まとめ:自ら作れば救われる
ニッチ・ビジネスの事業者が作るコンテンツ、Webサイトは信頼性の高い情報源です。明確な専門性があることからコンテンツ作りで悩むことも少ない。あとは、専門のカテゴリーをひたすら深く掘るだけです。
コンテンツ・マーケティングは効果が出るまで時間がかかります。しかし、投入した時間と労力は無駄にはなりません。大変だけれど信じて実行あるのみ。神であるグーグルのアルゴリズムは、自らコンテンツを作るものを必ずやさしく救ってくれるはずです。
参考:「いちばんやさしいコンテンツマーケティングの教本」(宗像 淳・亀山 將著)株式会社インプレス刊 ※2020年7月記事を改稿