The marketing for niche restaurants

ニッチ界の優等生、グローバル・ニッチ・トップ

 グローバル・ニッチ・トップってご存じですか。「…なんとなくわかるよ」ですね。ニッチ製品の製造で世界トップのビジネスのことをいいます。GNTなどとよぶこともあります。

 「ニッチは日陰者。すき間だからさ」。ニッチの当事者としては、ときにヒクツな思いをしています。でも、このグローバル・ニッチ・トップはニッチの優等生、エリート中のエリート。希望の星です。なにしろ経済産業省がバックアップしています。

 2020年6月に「グローバル・ニッチ・トップ企業100選」が経産省から発表されました。この制度、2013年からはじまっています。ニッチな分野で独自の製品を開発。国内だけでなく海外でも高いシェアをもつ企業をほめたたえる制度です。お手本はドイツのようです。ドイツの経済学者ハーマン・サイモンが「隠れたチャンピオン企業」を提唱。これを参考にしているようです。

 たとえば、「マニー株式会社」。白内障手術用の眼科ナイフを専門に製造しています。独自の加工技術で世界シェアは約30%。企業方針は医療機器以外は扱わない、世界一の品質以外は目指さない、製品の寿命の短いものは扱わない。さらに、ニッチ市場以外には参入しない。ゾクゾクするようなニッチ魂です。

 経産省のレポート「強さの秘密はどこにある。浮かび上がる3つの成功パターン」によると、グローバル・ニッチ・トップのポイントは3つ。特殊なニーズにこたえる、それなくしてつくれない、他社にはまねできない技術とあります。小さいけれども独自の製品で、世界のなかの特別なポジションをつくるということですね。

 この3つ、ニッチな飲食店ビジネスでも同じです。しかし、残念ながら経産省にお墨付きをもらえるようなグローバル・ニッチ・トップの飲食店ビジネスは、いまのところないようです。

 下図を見ていただければ一目瞭然です。飲食サービス業の生産性は299万円/人。図の左のはしっこ、全業種のなかで最低です。しかもダントツ。製造業はまん中ぐらい。それでも762万円/人です。グローバル・ニッチ・トップがエリートなら、飲食店ビジネスは問題児かもしれません。やればできる子なのに。

生産性はもうけ(付加価値額)を働く人(労働投入量)で割ったものです。なので生産性をあげるなら方法は二つ。もうけを増やすか働く人を減らすかです。

 しかし、生産性の話になると「ロボットを導入しよう」、「人工知能(AI)を使おう」、「無駄な残業をなくそう」ということになりがちです。これは分母である働く人を減らす方法です。きびしいコストカットが含まれてきます。

 分子を増やすほうが前向きだと思います。売上高を高めて、もうけを増やすことです。価格競争をしないニッチ・ビジネスならばこれが可能です。ニッチのポジションをつかんで、価値を築くことで生産性をあげる。ここから世界に飛躍する方法が生まれるかもしれません。

 経産省にグローバル・ニッチ・トップ企業を紹介するWebサイトがあります。このページに出てくる社長の顔がいいですね。みなさん福々しい。ニッチな飲食店の経営者にもこうなって欲しいものです。グローバル・ニッチ・トップの極意を参考にして、ニッチな飲食店ビジネスでの世界制覇について考えてみたいと思っています(^_^)。

飲食店ビジネスの生産性は全業種のなかで最下位
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