「ニッチな飲食店」がこれからの飲食店ビジネスで大きな役割をもつと考えています。日本の未来の産業になるはずです。
当企画室の使命は飲食店ビジネスの未来のために、ニッチ=独自地位の飲食店を調べ、分析すること。それをもとに飲食店のためのマーケティング施策を提案。さらに新しいニッチな飲食店ビジネスの構想を提言することです。
1.なぜ飲食店ビジネスは儲からないのか?
飲食店はマーケティング不足。
残念ながら、飲食店ビジネスは日本でもっとも儲からないビジネスです。下記の図です。飲食サービス業の労働生産性、つまり儲けは一人あたり299万円。一方、サービス業の平均は769万円。大きな差があります。
飲食サービス業は全業種のなかで最低。しかもダントツのビリです。「やっぱり」と思っている方も多いはずです。
問題は競争です。同じようなことばかりしているからです。原因はマーケティング不足。ラーメンが人気だからラーメン。餃子がトレンドだから餃子。おにぎりがブームだからおにぎり。流行にふりまわされています。
ほかの店と同じようなら、結局は価格で競争することになります。そうなると安売りです。儲けは少なくなります。
外食チェーン店は全国に同じ店、同じメニュー、同じいらっしゃいませで生産性=儲けを高めています。小さな飲食店では、これはできません。
小さな飲食店は外食チェーン店と異なる方法で売上と利益をアップさせる必要があります。小さな飲食店のためのマーケティングです。
企業では一般的になってきたマーケティング。飲食店ビジネスではまだ不足しています。一生懸命に働いている人たちの努力がむくわれるためにもマーケティングによって状況を変える必要があります。

2.「ニッチ=独自地位」の飲食店とはどんなものか?
顧客と市場性で8つのパターンに分ける。
「儲からない飲食店は差別化しなきゃ」は知っている。でも「どうやって差別化するんだよぉ」。
「ニッチ」です。ニッチはすき間と誤解されています。ニッチはすき間ではありません。ニッチは、たったひとつの「独自の地位(ポジション)」のことです。
生物学でいう生態的地位のことです。生き物が生きていくためのたったひとつの生きる場所。これがニッチです。
「どうやってニッチ=独自地位の飲食店になるんだよ」。「よくぞ聞いてくれました」。事例を調べてわかってきています。
私の考えですが市場の成長性と顧客の限定性で8つのパターンに分類できます。ニッチで独自地位の飲食店を考えるうえでわかりやすいと思います。


3.ニッチな飲食店のニッチはどう決めるか?
ニッチ・マーケティングで考える。
(1)ニッチを決める
どんなニッチにするのか決める必要があります。間違ってはいけません。すき間探しではありません。ヒラメの縁側だけの料理屋さん。成功は難しいと思います。すき間はただのすき間です。
事例研究で選定に大切なこともわかりました。①社会課題の解決を目指すこと、②すでに起きた未来に注目すること、③自分の好きなことはなにかを考えることです。
たとえば未来の食肉不足問題。ビーガンレストランはこれを解決する可能性があります。ますます進む高齢化社会。レトロ喫茶は昭和を愛する人が集まります。鉄道好きの創業者がつくった鉄道レストランには鉄ちゃんたちが集まります。
どんなニッチを選定するのかは事前にしっかりと決めておく必要があります。
(2)ターゲットと市場規模の認識
選んだニッチにお客さま、つまりターゲットが存在するのか。また市場規模がどのくらいあるのかを見きわめておく必要があります。
鉄ちゃん、鉄道ファンの人数は想定で全国に400万人。東京なら40万人。たくさんいますが、すでに撮り鉄、呑み鉄、乗り鉄などいくつも分化しています。ターゲットのていねいな見きわめが必要です。
そのターゲットのなかで年に1回ぐらい来てくれそうなお客さまが1万人いれば1日平均30人の来客が見込めます。客単価が3,000円ならば1日10万円弱の売上になります。ここから事業計画が立てられます。
(3)ニッチを構築する
ニッチを選んだだけでは独自の地位にはなりません。時間と手間をかけてニッチを築く必要があります。生態学でいう「ニッチ構築」です。
飲食店ビジネスはマネができます。人気だとわかれば競合店がどんどん入ってきます。だれも近づけない独自の地位をつくりあげる必要があります。そこではじめてニッチになります。
まずは新メニューです。ニッチな飲食店の代表的なメニューをつくることです。どんな店でも新メニューにはお客さまを呼び寄せる効果があります。ニッチならばなおさらです。
またコンテンツ・マーケティングも重要です。ニッチにまつわる記事をつくって発信することです。お客さまは、その情報をまっています。その店に行ってみたくなるはずです。
さらに伝えること。でも広告ではありません。Webサイトとお店のカンバンです。WebサイトにはSNSもありますが、ホームページがもっとも重要だと考えています。ホームページの情報は検索であがってくるからです。お店の前のカンバンもアナログですがとても大切です。どちらも口コミにつながります。
ニッチな飲食店にはニッチ・マーケティングが必要です。
4.小さな「ニッチな飲食店」のままでいいのか?
大きなチェーン店になるか。長く人気店になるか。
飲食店ビジネスの歴史をみるとニッチからはじまって大きくなった企業がたくさんあります。
「マクドナルド」。ドイツからやってきたハンバーグは、アメリカでニッチなハンバーグサンドイッチになり、やがてハンバーガーになりました。マクドナルドはフランチャイズシステムや新メニューなど工夫を重ねて世界的な企業になりました。
明治期に日本橋の魚河岸の一角ではじまった「牛丼」。現在は巨大な外食ビジネスになっています。中国人留学生のまかない食だった長崎の「ちゃんぽん」は全国に広がりました。
小さいながら人気店として長く続ける店もあります。元祖メニューの店です。
ポークカツレツの銀座「煉瓦亭」、麻婆豆腐の赤坂「四川飯店」、和風スパゲッティの渋谷「壁の穴」などです。
ニッチな新メニューで人気となった元祖メニューの店です。元祖は「時間のニッチ」です。元祖となれば、他の店はいくらマネしても時間をさかのぼって元祖にはなれません。

5.まとめ。「ニッチ=独自地位」の飲食店になる
ニッチな飲食店には未来がある。
小さな飲食店は「ニッチな飲食店」として成長できる未来があります。そのためにはニッチ・マーケティングです。
創意と工夫でニッチを構築することに集中すれば、やがて世界で活躍する飲食店ビジネスにも、いつまでも人気が続く飲食店ビジネスにもなります。
儲からない飲食店ビジネスではなく「ニッチ=独自地位」の飲食店ビジネスを考えてみませんか。

ニッチな飲食店のマーケティング企画室
中小企業診断士 雨 宮 和 男
2025年10月30日

