「ニッチな飲食店」がこれからの飲食店ビジネスで大きな役割をもつと考えています。日本の未来の産業になると考えています。当企画室の使命は日本の未来のビジネスのために「ニッチな飲食店」について調べて、考えて、マーケティング施策を提案し、新しい構想を提言することだと思っています。
大きな外食チェーン店、ラーメン店、カレー店では人びとが求める「食べること」を満たすことはできません。日本の社会では食事による健康づくりの意識が急速に高まっています。また人びとは食事に多様性も求めています。
外食チェーン店は同じものを全店で、全国で提供することで利益をあげようとします。同じような店、同じハンバーガー、同じ「いらっしゃいませ」で生産性を高めようとしています。生産性とは「儲け」のことです。
しかし残念ながら、飲食店ビジネスは日本でもっとも儲けが少ないビジネスです。2016年の中小企業白書で業種別の労働生産性が発表されました。飲食サービス業は一人あたり299万円。サービス業の平均は769万円。飲食サービス業は全業種のなかで最低。しかもダントツのビリです。
問題は「同質化」です。別な言い方ではマーケティングの不足です。外食チェーン店だけでなく、一般の飲食店も同じです。ラーメンが人気だからラーメン。餃子が流行っているから餃子。おにぎりがトレンドだからおにぎり。
ほかの店と同じようなものを売るなら、結局は価格で競争することになります。そうなると安売り競争です。コスト削減で苦しいばかり。儲けは少なくなります。一般的な飲食店ならば外食チェーン店との低価格競争に苦しみます。物価高騰、食材の値上がりではメニュー価格をあげられずに悩みます。
飲食店は儲からない、給料が安い、すぐつぶれる、ブラックと言われています。しかし飲食店には一生懸命に働いているたくさんの人たちがいます。儲からないままでは働いている人たちの努力がむくわれません。
ここが問題です。ここを変える必要があります。
「ニッチ」について考えるべきです。ニッチは誤解されています。「すき間」と思われています。ニッチは「すき間」ではありません。ニッチは、たったひとつの独自の地位(ポジション)のことです。生き物が生きていくために見つけ出したひとつだけの生きる場所。生物学でいう生態的地位のことです。これがニッチです。
独自飲食店、すなわち「ニッチな飲食店」であれば、外食チェーン店とは違います。マーケティングで重要な「お客さま(ターゲット)」が決まります。ターゲットが決まれば、お客さまがわざわざ店にやって来てくれます。安売りで競争する必要もありません。安売りしないでお客さまが来てくれるのなら利益が出ます。生産性が高まる、つまり儲けが出ます。
しかし「ニッチな飲食店」だからといって、すぐに儲かるわけではありません。すべてのビジネスと同じように売上を高めていく工夫が必要です。「ニッチな飲食店」には他とは異なる売上を高めるマーケティング施策が必要になります。
マーケティングによって「ニッチな飲食店」がお客さまに認められると人気店になります。そうなると大きな利益が出ます。人気になった「ニッチな飲食店」の事例は数多く存在します。
当企画室は以下の3つの点に注目しています。
1.ニッチ・マーケティング
ニッチは古代ローマにはじまりました。20世紀になってから生態学がニッチを定義し発展させました。20世紀後半からは経営学やマーケティングがニッチという考え方を活用しています。ニッチは日本ではあまり注目されていませんが世界ではニッチが注目されています。
ニッチ・マーケティングについてはマーケティングの神さまコトラーが少しだけ言及しています。本格的な研究はまだありません。さまざまな分野からニッチ・マーケティングに関する情報を集める必要があります。
2.ニッチな飲食店のマーケティング施策
「ニッチな飲食店」はカテゴリーとして存在していません。しかし事例として収集して分析すると重要性があり、飲食店ビジネスに大きな役割をもつことがわかります。
「ニッチな飲食店」として売上を高めるためには、一般の飲食店と同じようなことではうまくいきません。ニッチだからです。「ニッチな飲食店」のためのマーケティングの施策によって売上を高められます。
「ニッチな飲食店」は一度お客さまに認められると急速に売上が高まっていきます。「ニッチな飲食店」の売上アップのためのたくさんの方法論や施策のアイデアが必要です。
3.ニッチな飲食店のビジネスモデル構想
日本の飲食店ビジネスが世界から注目されています。「ものづくり大国」の日本が陰りを見せる一方で「食べづくり大国」の日本に未来があると思います。
健康に特化した飲食店のように、社会の変化とともに新しいニッチな飲食店にビジネスの機会が生まれています。「ニッチな飲食店」の新しい構想をつくることで未来につながっていく確信しています。これまでの経験、調査、分析をもとに新しい「ニッチな飲食店」のビジネスモデルを構想し提言していきます。
最後にあらためてですが、当企画室の使命は日本の未来のビジネスのために「ニッチな飲食店」について調べて、考えて、マーケティング施策を提案し、新しい構想を提言することです。
(2024年5月31日)
ニッチな飲食店のマーケティング企画室
代表 雨 宮 和 男