私、ニッチ教の狂信者です。毎日、「ニッチ、ニッチ」とつぶやきながら歩いています。近所で偶然、ニッチを発見。場所は、あの日本橋の高島屋さんです。
ところでニッチって、ご存じですか。「すき間だよ」と思われる方、多いかもしれません。実はそれだけではありません。いろいろあるんです。私の説明では信用できないでしょうから(妻もよくそういっています)、三省堂の大辞林から引用させていただきます。
ニッチ 【niche】
①西洋建築で,壁面を半円または方形にくぼめた部分。彫刻などを飾ったり噴水を設けたりする。壁龕(へきがん)。
②トンネル・橋などの脇に設けられた退避用の場所。
③「生態的地位(せいたいてきちい)」に同じ。
④広く,隙間をいう。
⑤他社が進出していない市場の隙間。特定市場分野。
はじまりは建築学ですね。「くぼみ」でいいと思います。漢字で書くと壁龕(へきがん)。超難字です。「薔薇」と「憂鬱」は若いころモテようと思って必死に練習しました。いまでもやっぱり書けない。壁龕はさらに書けませんね。しかも、書けてもモテない(^_^)。
ニッチの歴史は古く、すでに古代のローマ建築(4世紀ごろのミネルウァ・メディカ神殿)にはニッチがあったとのこと。壁に彫刻などを置く半円状のスペースです。
むしろ、生態学でよくニッチ(生態的地位)が出てきます。エコロジカル・ニッチともいいます。「生き物が生存するための唯一の独自ポジション」ということです。地球環境をひとつのジグソーパズルと考えます。地球上には約175万種の生き物がいます。175万のパズルのピースで環境ができているということです。♪ミミズだって オケラだって アメンボだって みんな みんな生きているんだ…♪*。生きているものには、必ず存在するべき場所があるということ。なんだか救われますね。
最後は「特定市場分野」。難しく書いてあります。マーケティングのニッチのことです。P・コトラーの競争地位別戦略から来ています。大手の会社が歯牙にもかけない小さな市場。これがニッチです。でも、ここをニッチ・ビジネスとしてねらうと意外とオイシイんです。
寄り道しちゃいました。日本橋の高島屋さんにはニッチもあるんです。建築のニッチです。本館は1933年(昭和8年)に竣工。その後、増築を重ねました。2009年(平成21年)に重要文化財に指定されています。
いまも現役の手動のエレベーター、イタリア産大理石の壁にあるアンモナイトの化石など見どころがいっぱいです。その本館の正面の入り口の左右の壁2か所にニッチがあります。いかにも!というニッチです。
ホームページによると昔は水飲み場だったとのこと。いまは、ただの「くぼみ」だけ。サッパリとしています。豪華な花瓶を置いて、♪バラのマークの…真っ赤なバラを活けたらほんとうにピッタリだと思います。
ということで、日本のデパートの代表、高島屋さんにはニッチもあるということでした。豪華かつ歴史のあるデパート。庶民の私は、たまに華やかでむんむんする香りの1階化粧品売り場へ。そこで、海外旅行の気分を味わいます。その後、地下の総菜コーナーに。立派なサワラの西京焼きを見ます。その記憶をしっかりと脳に焼き付ける。で、家に帰り記憶をたよりに白いごはんを食べる…そんなわけないですよ。納豆ぐらいは付けますよ(^_^)。
*出典:「手のひらを太陽に」やなせたかし作詞