ファミレスという言葉があります。ファミリーのためのレストランですね。最近「おひとりさま」も増えてきています。そろそろソロメシの専用レストラン、「ソロレス」というカテゴリーができてもいいのではなでしょうか。

1.ひとり化の時代

 「おひとりさま」という言葉が世の中に定着してから随分たちます。厚生労働省の調査でも核家族といわれる親子4人ないし3人の世帯数は減少の一途です。一方、ひとり世帯は増加を続け、まもなく世帯構成ではトップになります。

 社会の要求です。先史時代から長く続いた大家族制は産業革命によって終わりました。工業化社会にとっては核家族が必要でした。パパはがんばって働き、ママは子どもと家庭を守るというのが理想的な家族でした。
 ひとり世帯が増加しているのは、社会がそれを求めているからです。情報産業社会では、核家族ではく、「ひとり」が必要なのでしょう。いいことなのかはわかりませんが、社会はひとり化に向かっています。

 ひとり世帯の増加のもうひとつの要因は高齢化。家庭から子どもが巣立ち、パートナーが亡くなる。高齢者のひとり暮らしです。好ましいこととは思えませんが、社会の要求に応えるしかなかったことの結果だと思います。大きな問題だと思います。

世帯構造別にみた世帯数の構成割合

2.ひとりごはん、「ソロメシ」の時代

 ひとり世帯が増加するなら、ひとりでごはんを食べることも増えます。みんなで食卓を囲むことの文化的、健康的な意義、楽しみは大切です。しかし、いつも家族やみんなで食事をするわけにはいかなくなりました。「ぼっちめし」などとネガティブな言葉もありますが、前向きに考えたほうがいいと思います。スマホなどを上手に使いながら、疑似的にみんなで食事をすることもできますね。

 この先しばらくは、ひとりで食事をする人が多くなる社会が続くと思います。その先は、また違うのかもしれませんが。

 冷凍食品業界やスーパーなどは、この変化に機敏に動いています。ひとり用のポーションの提供、持ち帰り総菜の販売強化などです。飲食店でもひとり焼肉店などができています。少しずつ、ひとりで食事をするという社会の変化に対応してきています。

3.減少中の核家族。なのにファミレス市場は大きいまま

 ファミリーレストラン、いわゆるファミレスというカテゴリーがあります。核家族が社会の中心だった時代にできました。デニーズ、ロイヤルホスト、最近ではガストやサイゼリアなどもがんばっていますね。カテゴリーでみると市場規模は、約1.3兆円。大きな市場ですが、あまり減少していません。ひとりの食事もとりこんでいるからだと思います。

 牛丼の吉野家のようなお店も、ひとりの食事によく使われています。味集中カウンターのラーメン一蘭、駅前の富士そばなどもあります。カレー、天丼、かつ丼などもひとりの食事でよく使われます。しかし、カテゴリーとしては、短時間で食べられるというファストフードです。

 前述の世帯構成の変化から考えると、ファミレスというカテゴリーだけでは、うまく市場をとらえられないと思います。ひとり世帯の増加に対応するソロメシのレストラン、「ソロレス」というカテゴリーが必要ではないでしょうか。

ファミリーレストランの市場規模

4.成長する!ニッチな「女性向けソロレス」

 「スープ・ストック・トーキョー」さん、ここがソロレスだと思います。「働く女性がほっと一息つけるスープを」*というコンセプト。店内はカウンター席で、お客さまは女性が中心です。お昼の時間帯にカンタンな調査をしました。お客さまの91%が女性、92%の方がひとり利用でした。男性の方も少しお見かけしました。二日酔いなのかな、などと思ったりして。

 ソロメシにとって重要なのは、低価格とか早い提供ではないと思います。安心して、ひとりで食べられること。「おひとりさま大歓迎、ゆっくり食事してください」というお店のメッセージだと思います。

 ひとり世帯が多くなる社会、さらに男女で働く社会なのに、女性がひとりで安心して食事ができるお店が少ない。ポジショニングとして、ここに空きがあるのだと思います。お店の提供するメニューも、極限すると、スープでなくてもいいのかもしれません。女性向けのソロメシのレストランがポイントです。

 「女性がひとりで安心して食事ができる」というポジションのお店は、まだいろいろと考えられます。これから、企業や社会のなかで、女性がますます活発に行動していくことになります。「女性向けソロレス」、今はニッチですが、これから大きなカテゴリーになると思います。

 成長ゼッタイ間違いなし!といいたいのですが、あ~勇気がなくて、あくまでも推測と申しあげておきます。

スープ・ストック・トーキョーの女性利用率とひとり利用率

*参考:「自分が欲しいものだけ創る!」野崎 亙 日経BP