1.日々、食にまつわるニッチビジネスを探しています

 敬愛する「競争しない競争戦略」(山田英夫著)では、流通(チャネル)を押さえ、限られた市場の寡占を作る戦略としてチャネル・ニッチという分類があります。(詳しくはニッチビジネスのカテゴリー分類で)

 で、やってきました日本橋室町の「牡蠣酒場 北海道厚岸(あっけし)」。牡蠣フライです。人気ですね、長蛇の列です。ここは食材の牡蠣を「北海道厚岸産」に限定したお店です。
 「ここが、食のチャネル・ニッチにあたるものなのかを真剣に考えたい」といいつつも「牡蠣フライがどうしても食べたい」(キッパリ)という不純な動機で来店です(^_^)。

牡蠣酒場北海道厚岸、競争しない競争戦略
「牡蠣酒場北海道厚岸」。牡蠣フライで大人気

2.ポイントは「厚岸の牡蠣じゃないとダメだ」というのか

 厚岸の牡蠣じゃないとダメなのかでしょうか。それとも、食べるなら厚岸の牡蠣のほうが良い、ということでしょうか。残念ながら「厚岸でないと絶対にダメだ」という人は少ないと思います。できあがった牡蠣フライには、厚岸とか的矢とか名前が書いてあるわけではありません。食べたらどこの産地なのかはわからないと思います。

 「食べるなら、どちらかというと厚岸の牡蠣のほうが良い」ということになります。ふっくらとしながらもサクッとした口当たりと濃厚でクリーミーな味わいの厚岸の牡蠣フライを食べながら、そう考えました。(ただの食レポですね・(^_^))
 となると「これは単に厚岸というブランドによる差別化ではないか」ということになります。

3.チャネル・ニッチではない

 どうしても、このお店の厚岸の牡蠣である必要がないのなら、チャネル・ニッチではありませんね。
 ということで今回は「食のニッチではない」という結論で終了です。「え~ッ!?。やっぱり牡蠣フライが食べたかっただけか?」(^_^)。
 しかし、せっかくなのでもう少し牡蠣についてデータなどを調べてみました。

4.データからすると厳しい

 牡蠣フライの未来は、厳しいかもしれません。魚離れ現象が問題です。確かに中高年齢層は牡蠣フライなど魚介類が好きですが、若い人たちはどうなのでしょうか。厚生労働省の資料によると肉類の摂取量が増加しています。これに呼応するように魚介類の摂取が減少しています。この減少を受けてでしょうか、養殖牡蠣の生産量も減少中です。

 魚離れは「魚が好きでない」、「価格が高い」、「調理が面倒」というのが大きな要因といわれています。これから人口も減少するでしょうから、牡蠣フライを求める消費者も減少します。となると牡蠣もブランド化だけでは追いつかなくなり、より付加価値をつけて販売する必要が出てくるかもしれません。新メニュー「厚岸の牡蠣フライ、トリフ添え」で高付加価値化でしょうか。う~ん、あと5年ぐらいは高付加価値化はしないでほしいですね。牡蠣フライ、手軽に一冬に2、3回は食べたいので(^_^)。

養殖牡蠣の生産量
魚介類の摂取量の減少と同時に牡蠣の生産量も減少傾向