1.砂漠・ベルベル人・ブルー…エキゾチックやぁ
飯田橋にあるモロッコ料理「タジンや」さん。人気店です。モロッコ料理はよく知らないけれど、「タジン鍋」なら聞いたことがあるという方も多いかもしれません。でもモロッコといえば映画「カサブランカ」でしょう。「君の瞳に乾杯」は昭和時代のオヤジの決めセリフでした(^_^)。
モロッコはアフリカの最北部、地中海をはさんでお向かいはスペイン。スペイン旅行でモロッコまで足を伸ばされた方もいるかもしれません。サハラ砂漠、独特の文化を持つベルベル人、青い色の町並みなどミステリアスな魅力でいっぱいです。
2.ニッチな飲食店の競合
以下、人気店のモロッコ料理「タジンや」さんについて、3C分析=競合・顧客・自店の観点で見てみましょう。
モロッコ料理店は都内で8軒。ニッチな業態の飲食店では、競合についてあまり気を使わなくていいのがポイント。近隣に競合店がないのが普通です。「タジンや」さんから最も近いモロッコ料理店も西麻布。カジュアル、高級などポジショニングについては考える必要がありますが、競合対策に力を入れる必要はないと思います。また、以前のブログ(2017年8月)でも書きましたが、代々木上原のブータン料理店のように、至近に2店集中した場合にも「集積効果」があり、ビジネス上はポジティブだと思います。
3.お客さまは誰なのか
「タジンや」さんのお客さまは、やはり女性が多いようです。海外旅行の話に夢中だったり、出てきた料理についておしゃべりしたり。モロッコへの日本人旅行者は年間3万人程度とそれほど多くありません。お向かいのスペインは約48万人と人気です。ということで根っからのモロッコファンの固定客は多くは見込めないと思います。いわゆる一般的なエスニック料理店の場合と同じように、「女性の新規顧客」を見込む必要がありそうです。
通常の飲食店では既存顧客=リピーター顧客の確保がキモなので、常連のお客さまが少ないのは悩ましいところです。しかし、「タジンや」さんのようなニッチな飲食店になると女性顧客層もかなり絞り込めそうです。「モロッコ料理、海外旅行、エキゾチックなベルベル文化、ネコ(モロッコはネコで有名のようです)が好き…」。お客さまのイメージがしっかり見えると戦略はたてやすくなります。
でも、ここは想像で確認できないので、また、ありがちな私の思い込みかもです(^_^)。
4.店の強みはなにか
プロモーションは、砂漠のディナーショーとベリーダンスショー。別料金ではなく、新規のお客さまが来店しやすいように考えられています。良く見るとお店の案内チラシ、イベントの告知、ホームページ、フェイスブック、ライン、さらにモロッコ名産のアルガンオイルの販売と、きめ細かな売上増加の努力を積み重ねています。
でも、最も印象が強かったのは、鮮やかなブルーのベルベル人の民族衣装に身を包んだイケメンのフロアマネージャーさん。昔モデルで来日したのかと思うような端正な顔立ち。しかも、日本で生まれたかのような上手な日本語。(どっちなんだ?(^_^))。さらにきめ細やかなお客さまへの「オモテナシ」。オーダーの取り方、料理の説明などていねいなお客さまへの対応が素晴らしいと思います。
5.ディズニーランドのミッキーマウスのように
このベルベル人のキャラクターこそがこのお店の中心(コアになる価値)かもしれません。ディズニーランドならばミッキーマウス。店の代表であり、オモテナシの先頭に立つ人。お店のありとあらゆるツールにも登場していますね。このキャラクターに施策の焦点をあて、お店のイメージ(ブランド)を作っています。良く考えられた施策だと感心しました。
え?フロアマネージャーさん、それほどイケメンじゃない? そんなことないでしょ。ぜひお店で確かめてください(^_^)。