日本で唯一のクロアチア料理店「Dobro(ドブロ)」さん。ナンバーワンと言うなら根拠のデータが必要ですね。しかし、この場合はほぼ不要です。
ネットで「クロアチア料理」を検索してもこのお店しかでてきません。京橋の交差点近く。はためく赤い市松模様の国旗が目印です。クロアチアと聞いて場所が思い浮かぶ人は少ないはずです。アドリア海に面していて、お向かいはイタリア。かつてのユーゴスラビアの一国です。サッカーが好き人ならおなじみかもしれません。風光明媚でジブリ映画「紅の豚」のモデルになったともいわれています。
ランチでおじゃましました。お昼すぎでもお客さんがいっぱい。中2階のある店内で60席見当。かなり大きめ。厨房もフロアも3人ずつ計6人がフル回転です。お客さんもリピーターのビジネスマンが多いようです。「この店探したのよ」というご婦人ふたり連れがお隣の席に。新規顧客の取り込みも十分なようです。飲食店として理想的な経営かもしれません。
クロアチアはイタリアの隣国でもあり、料理全体もイタリアンに近いようです。「Dobro(ドブロ)」さんもアクアパッツァや魚のソテーなどシーフードが名物のようです。「イタリア料理に近いけれどしっかりと差別化ができている」。このあたりが日本でも一店という珍しいクロアチア料理店というだけでなく、人気料理店でもある秘密のような気がします。
「食べログ」で東京・イタリアンを検索すると、なんと5,993店が出てきます。「ぐるなび」でも5,304店出てくるので、ざっくり5,000店というとこでしょうか。この中から上位を獲得するのは至難のワザですね。
しかし、別な考え方としては巨大な市場であり、チャンスだともいえます。資料(下記です)によると、イタリア料理は約3,300億円の市場規模です。毎年、若干ながら成長しています。同規模程度の業態は、ラーメン、牛丼、立ち食いそばなど。業態名を聞いただけでも激戦区の気配です。
このイタリアンレストランの市場に正面から突入するのではなく、クロアチア料理として参入するなら素晴らしい戦略といえます。ニッチビジネスでの重要なポイントは、①競争しないこと、②大規模市場の中の小市場、③顧客層の絞り込みです。この点でほぼ完璧です。
「Dobro(ドブロ)」さんは日本で唯一のお店なので他店との競争はありません。また、クロアチア料理の市場は大規模市場イタリアンの縁(ふち)にあるといえます。さらに、店舗の近隣のビジネスマンが中心顧客。当然ですが、料理も美味しいし、クロアチアのワインや赤いチェック柄の名産品なども販売していて、お客さまとのコミュニケーションも十分なかんじです。
「すごく高度な戦略的なアプローチ」。と思ったのですが、よく調べてみると違いました(^_^)。
オーナーの方がサッカーファン。クロアチアの魅力を知り現地を訪問。そして会社を辞めて、この店をオープンされたとのこと(Kyobashi Times参照)。かなりストレートな動機ですね。
またしても、私の考えすぎでした。でも「結果オーライ」というやつですね(^_^)。