The marketing for niche restaurants

提案ニッチ飲食店の予測概論:新しい提案はニッチな飲食店から

 このページでは、これから出現すると予測できるニッチな飲食店についてお話しします。8つのカテゴリーに分類しています。分類については別ページをご覧ください。予測の具体例は、このページ以降のページをご覧ください。

新しい提案によって市場が生まれる。ニッチな飲食店だからできる

 新しい提案によって新しいお客さまと売上げを獲得することができます。提案とは社会課題の解決策やこれまで人びとが気がついていなかったアイデアのことです。この提案をまっさきに試すのは、社会の中の数%のイノベーター(革新者)と呼ばれる人たちです。ニッチな飲食店のお客さまです。

1.市場はあるのか:社会の課題を解決する提案が売上げをつくる

 新しい提案が社会を動かします。飲食店にもできる新しい提案があります。将来のタンパク質不足の解消、ひとり世帯増加による個食化への対応、食欲ではない新し飲食店の機能を見出すことなどです。

●将来の食肉不足。飲食店の新しいビジネス機会

 社会の課題を解決するという大きな意義を持ったビジネスは成長する可能性があります。飲食店ビジネスも同じです。
     
 飲食店は、これまで人びとの空腹を満たすという仕事をしてきました。ファストフードのように、あっというまに、しかも低価格で飲食を提供することも忙しい社会の課題の解決策のひとつでした。
    
 社会課題とはなんでしょうか。わかりやすいのは、いま流行中のSDGsです。食については飢餓、食糧危機、食の安全性などがテーマになっています。
    
 とくに食糧危機の問題です。食肉がこれ以上増産できないという問題があります。将来の食肉不足をどうするかが大きな社会の課題です。
    
 世界の人口は2030年には83億人になるといわれています。さて、その食糧をどうするかです。急速に成長する中国、東南アジア諸国などで食肉の需要が高まっています。これから「肉がもっと食べたい」。そのつぎは「サシの入った和牛が食べたい」となるはずです。
  
 しかし、これに見合う食肉の増産はできません。畜産業はその産業構造から気候変動に大きな影響を与えています。大豆などを使った植物性タンパク質を使っていく必要があります。すでに新しいメニューの提供がはじまっています。

世界人口予測
●個食化で健康をそこなう恐れがある。どうするか

 イギリスではすでに、孤独担当大臣がいます。最近、日本でも孤独担当大臣が任命されて話題になりました。孤独の問題は個食化にもつながっています。
   
 過去の時代では、食事は家族や友人といっしょに食べることが多かったはずです。ひとり世帯の増加とともに個食化も進んでいます。コロナ禍の影響でさらにひとりで食べる機会が増えています。
    
 ひとりで食べることの問題は、個食によって健康が阻害されることです。原因は孤独感と食べすぎです。飲食店でもこの問題をこれから考えていく必要があります。新しいビジネスの機会でもあります。

厚生労働省 国民生活基礎調査 単身世帯がトップ 28.8%
●食欲を超えたあとの飲食店の機能はなにか

 食欲は生理的な欲求です。現代の日本では飢餓の状態の人は、ほぼいません。人びとの「空腹」を飲食店は十分に解決しています。十分どころか過食、さらに過食による肥満、肥満による健康問題までに行きついてしまっています。
  
 飲食店は食欲満足機能だけではなく、その次の段階に向かっていくはずです。マズローの5段階欲求説の「安全欲求」の段階、つまり健康を目的にする飲食店が実現しようとしています。その先の「承認の欲求」にはインスタ映えの飲食店が応えています。
    
食欲ではない、これからさきの飲食店機能について考える必要があります。

2.顧客はだれなのか:2.5%のイノベーターがまっさきに試す

 新しい提案に興味を持つ人はイノベーターと呼ばれています。新しいことや新しい製品が大好きです。新しいことはイノベーターに評価されてから少しづつ一般の人びとに広がっていきます。

●新しいものをためしたい人、イノベーター

 新しい食べ物に「恐怖」を感じる人がいます。一方「興味」を抱く人もいます。食物の新奇性恐怖と新奇性嗜好と言うようです。
   
 生き残るための本能です。死に直面するほど飢えて、食べられそうもないナマコを食べて生き残った人とおいしそうな真っ赤なキノコを食べて死んでしまった人がいたのだと思います。
   
 新奇性嗜好者、つまり、新しいものに興味を抱く人はイノベーターです。マーケティングの消費者の区分のひとつです。2008年に日本で発売されたiPhone3Gをお店で並んで買ったあなたです。全体の2.5%の人がイノベーターです。詳しくは第5話でお話しします。
   
 ニッチな飲食店ではこの人たちがお客さまになると思います。東京都心の人口を約1,000万人とすると2.5%で25万人。お客さまとしてなら十分な数です。

イノベーター、早期採用者、前期多数採用者、後期多数採用者、ラガード

●基本はお客さま(顧客)はだれなのか

 お店であれば、必ず想定するお客さま(顧客)がいるはずです。このお客さまをターゲットと言います。
  
 ターゲットを決めることはマーケティングの基本です。どんなビジネスでもターゲットとなるお客さまを決める必要があります。おしゃれなカフェなら女性。ハンバーガーショップなら若い人や家族。牛丼屋ならビジネスマンなどです。「だれでも来てほしい」では欲ばりすぎですね。
   
 新しい提案をするニッチな飲食店では「おいしいものをおなかいっぱい食べたい」という人たちではありません。これまでとは異なる層の人びとです。イノベーターと呼ばれる人たちになります。

<参考文献>
厚生労働省「国民生活調査」
ジャック・アタリ/林 昌宏 『食の歴史-人類はこれまで何を食べてきたのか』プレジデント社 2020年
エベレット・ロジャーズ/三藤利雄訳『イノベーションの普及』翔泳社 2007年

健康ニッチ飲食店の予測概論:健康食品があるのに「健康飲食店」がない

サイト内の検索

PAGETOP
Powered by WordPress & BizVektor Theme by Vektor,Inc. technology.
PAGE TOP