The marketing for niche restaurants

健康ニッチ飲食店の予測:健康食を処方する「健康処方飲食店」

病院に通って「いつものお薬」を飲んでいる方も多いと思います。一方、健康診断で要再検査となり「アチャ」と思っている人もかなりたくさんいると思います。
  
そこでお医者さんに行くとパンフレットをわたされて「あまり脂っこいものは食べないように」とか「あまりたくさんお酒を飲まないように」などの指導を受けます。
  
はたしてこれで改善するのでしょうか。来年も再検査ではありませんか。医療保険制度で悩みの多い米国では医者とスーパーが連携して、処方箋で食品を処方するという試みがおこなわれています。いいアイデアです。もう少し進めることもできると思います。「健康処方飲食店」です。

●日本人の7~8%は高血圧症

 「健康処方飲食店」とは、処方箋で薬を出す薬局と同じ考え方の飲食店です。
  
 生活習慣病で困っている人がいます。たとえば、平成29年に高血圧症で通院または入院した人は993.7万人。日本人の7~8%の人がこの症状で悩んでいることになります。そのほか糖尿病や脂質異常症などの人も200~300万人以上もいます。
  
 これだけの人が病院に行くとなると医療費も大変です。個人の支払いも大変ですが、健康保険組合、さらに医療費を支える国や自治体も大変です。国民医療費は44兆円以上。しかも、毎年のように増えています。
   
 国は健康をできるだけ自分で管理してほしいと思っています。「健康でいてほしい」とは「病院に行かないでほしい」でもあると思います。
   
 塩分を少なめにとか野菜をたっぷりになどは家庭ならコントロールできます。しかし、外食では難しいことです。せいぜい「ラーメンのスープは飲み干さない」ですね。「ちょっと高血圧が気になる」ぐらいならいいのですが、深刻な場合はなんとかしないといけません。

傷病の総患者数
国民健康医療費推移
●米国発、食品を処方するという発想

 食品処方箋、いいアイデアですね。日本でも生活習慣病の患者には食事の指導がありますが、具体的な食事のレシピまでは処方しません。「夜、寝る前には食べないでくださいね」ぐらいではないでしょうか。 
    
 アメリカの食品処方箋の考え方を「健康処方飲食店」ビジネスにできないものでしょうか。薬局のとなりにあるといいと思います。
 
医師が食品の処方箋を出すのは現行制度では難しいと思います。そのかわりに管理栄養士などが医師と連携し、患者からの聞き取りをして個人のメニューを作成して提供することはできると思います。病状を改善するための個人メニューを提供する飲食店です。

●ニッチな飲食店だからこそできる「健康処方飲食店」

 患者にとって外食でも食事療法ができれば、病状改善に効果的なはずです。お店にとっても定期的に通ってくれるお客さま(患者)はリピート客として重要です。
    
 難しいのは、お客さまが限られるということです。前述の資料では、生活習慣病の患者の総数は、ざっと1,500万人でした。しかし、深刻に食事療法を求める人は、それよりも少ない人数だと思います。さらに「好きだからやめられない」と食事をあまり気にしない人も多いと思います。
    
 毎日のように進化する健康知識を学ぶ必要もあります。また、お店ですから通えるお客さまという限定条件もあります。薬局とおなじように病院の近くで営業するということもあるかもしれません。
    
 ニッチな飲食店らしい課題です。これまでの飲食店ビジネスとは少し違うものだと思います。しかし、広くたくさんのお客さまを対象にする大手の外食チェーン店にはできません。まさに、ニッチな飲食店でなければできないビジネスだと思います。

<参考文献>
厚生労働省「平成29年患者調査」平成31年3月
田中宏隆、岡田亜希子、瀬川明秀『フードテック革命』日経BP社 2020
https://www.supermarketnews.com/ Kroger puts ‘food as medicine’ to the test 

健康ニッチ飲食店の予測概論:健康食品があるのに「健康飲食店」がない

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