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ニッチな飲食店。「これは効いた」の13の作戦

 ここまでで効果があったと思う作戦の報告をします。ニッチな飲食店がお客さまです。なのでニッチな経験からのお話しです。「違うな」かもしれません。細かい事情は省略。一覧にして短いコメントをつけました。ご参考ください。

1.すごく効果が出た4つの作戦

 「あたりまえのことだ」と言われそうです。でも、それをやるか、やらないかということもありますね。

(1)新メニューの導入

 「言われなくても知ってるよ。耳にタコとイカだ」の声が(^_^)。

 <事例>2年前の年末に新パーティメニューを導入。想像以上の大ヒットでした。12月以降6か月間は前年比売上平均で122%に。販売分析(後述)がヒントでした。一般店の各月の売上比率データとの比較分析の結果です。
しかし、トラブルがあり効果は6か月間まで。ほかの新メニュー導入でも同じように、効果は一定期間まで。新メニューで長期に効果が続くと思ってはいけないようです。

(2)メニューブック見直し

 これも「知ってるよ。やってるよ」ですね。でも穴もあります。

 <事例>メニューがならんでしまっていました。どれがメインなのかサイドなのかがわかりづらい。そこで、カテゴリー分けを明確化。さらに売れ筋上位のメニュー(約20%)を人気メニューと表示しました。
 ニッチな飲食店なら珍しいメニューや内容が理解しにくいものも多いはず。はじめてのお客さまでもメニューが選びやすいこと。これを大切にしたいですね。

(3)価格改定(値上げ)

 「そんなことできれば苦労ないよ」ですよね。でも、できました。

 <事例>近隣のお店の価格を調べました。なんだか安い。「オープンのときにメニュー価格を安く設定してしまった」。経営者からの取材でわかりました。
2019年の消費増税が機会。売上13%アップを目標にメニューの約半分を改定しました。経営者の英断でした。ドキドキしました。しかし、結果は成功。値上げ以降、コロナ禍前までの5か月間、売上が過去5年平均比118%に。前年事情があって不調だったため、前年比だと146%です。コロナ禍が残念。でも、また新しいことを考えましょう(^_^)。

 ニッチな飲食店にとって「価格」はとても重要です。別ページもご覧ください。

(4)店頭ツール見直し

 「知ってるよ。やってる。何度いったらわかるんだ」との声が…(^_^)。

 <事例>お客さまアンケートの来店動機で「お店の看板などで来店」が15%ありました。そこで、古くなっていたA型看板を新しくしました。のぼりも追加しました。
 経験則ですが、店頭はにぎやかがいい。しかし、ブランドを考えるとごちゃごちゃは良くありません。お店のブランドにあったできるだけ良いデザインのツールが必要です。

2.じわじわと効いた5つの作戦

 すぐに結果はでないものの、ハードパンチャーのボディブローのように「効いてる」と思うものです。効果がすぐに手にできない。しかも手間もかかる。こらえて続けることも肝心ですね。

(1)フェイスブックページ

 「当然だ。インスタもやってるぜ」ですね。広告を実施しました。

 <事例>SNSは基本ツールですね。シェフやスタッフ、お店の情報をブログでアップしています。コロナ禍の8月にフェイスブックの広告(投稿宣伝)を実施。8月の売上は前年比69%。よくはありません。しかし、5月~7月は前年比平均43%。9月~11月は平均59%でした。それなりの効果を感じています。使った広告の費用と売上を考える必要があります。広告をやめたら売上が下がってしまったのでは意味がありません。積み上げ効果です。お店へのフォロワー数を少しづつ増やしていくことが大切だと実感しています。

(2)Webサイト(HP) 

 「もうあるよ。」ですね。でも「ある」から「深める」ことにしました。

 <事例>ニッチな飲食店はお客さまに知ってもらうことが大切。多くの人に知ってもらわないとお客さまが来店されません。「認知」です。
 お客さまアンケートでは25%の方がネット情報で来店とありました。口コミで来店されるお客さまも必ずネットで検索していると思います。ネット検索で上位のページに出てくる必要があります。「SEO」ですね。ニッチな飲食店は「そうなんだ」という特別な情報がカギ。時間も手間もかかります。「なるほど」と思えるサイトに増設中です。

(3)販売分析

 「やってるわい。常識だ」ですね(^_^)。ヒントがたくさんありますね。

 <事例>前述(新メニューの導入)しました。3年分の毎月の平均売上高を集計。一般の飲食店の毎月の売上高のデータを見つけて比較しました。年末と年始がかなり弱いことを発見。グループ客向けのメニューが利用されていないことがわかりました。検討の結果、新パーティメニューを導入。売上が大きく改善しました。
 分析ばかりをやっても意味はありません。しかし、販売情報には新しいアイデアのヒントがたくさんあります。

(4)ベスト10メニュー

 「おいしいから売れるのではない。売れているのがおいしい料理だ」サイゼリアの創業者の著書のタイトルです。そのとおりですね。

 <事例>珍しいメニューが多いのがニッチな飲食店。お客さまはどれを選んでいいのか悩むはずです。販売データからベスト10メニューを選定。小さなポップをつくりました。このポップから注文されることが多いようです。販売分析でわかります。お客さまは人気メニューから選ぶことで安心できるはずです。

(5)シェフをヒーローに

 「シェフは恥ずかしがりやです」。いやいや、はにかむ顔がいいんです。

 <事例>シェフにブログやツールで登場してもらっています。2020年のフェイスブック。シェフ登場ブログの「いいね」は平均54。お店の情報などのブログでは平均32でした。約1.7倍の差です。当然、リーチにも大きな影響があります。
 シェフがいいキャラクターということもあります。でもお店にくるのお客さまなら「どんな人が料理してくれるのか」は知りたいはず。シェフはブランドの代表でもあります。ニッチな飲食店なら特にです。シェフをヒーローにする次の作戦をプラン中です。

3.やっていたから役立った4つの作戦

 「やる意味あるの」となじられそうな作戦(^_^)。じわじわよりも、さらに遠いかんじです。でも、いまから考えると「やっといて良かった」と思えます。

(1)お客さまアンケート

 「やりたいけど、めんどくさい」ですね。たくさん質問はできません。

 <事例>「お店に来たきっかけ」の調査が効果的でした。友だち・知人からという口コミが約50%、フェイスブックや食べログなどのネット検索からが約25%、お店の看板など前を通りかかってが約15%でした。おそらく口コミの場合はネット検索もしているはずです。したがってネットと店頭の強化が有効だと理解できました。このアンケート調査はさまざまな作戦に役立ちました。

(2)通行量調査

 「いまのお店でやってどうする」でしょうか。意外な発見があります。

 <事例>「お店の前はメイン通りではない。人通りは少ない」との経営者の意見。お店まわり17か所を調査してみました。あれれ。メインの通り以外では上から5番目。好成績です。お店を見て来店のお客さまは調査から約15%。となると見込み客はたくさんいるという結果です。お店の前のツールの強化は効果があるはずです。思い込みで決めてはいけないと感じました。

(3)近隣店調査

 「顔見知り。だいたいわかっている」ですね。別の目でみるのも大切。

 <事例>前述の「価格改定(値上げ)」で役立ちました。「安いのではないかと」思ったからです。近くのお店、約25店のランチ価格などを調査。ネット情報や外にあるA型看板などで調べました。そんなに手間がかかりません。成果は「貴店の価格は比較すると安い」です。経営者の方も理解されました。最終的に2019年10月に値上げを断行。ちょっとでも調べてみることは大切だと思いました。

(4)ショップカード

 「あったほうがいいけどさ」ですね。でも見つめなおしに重要です。

 <事例>店名、地図ぐらいのショップカードならあまり意味がありません。お店のブランディングです。カードにお店の「売り」をスッと書けるかどうかです。お店のブランドやポジショニングをひとことで書くということです。
 これはなかなか書けないと思います。しかし、ニッチな飲食店なら比較的書けます。一般のお店でも、ひとつに絞った「売り」を考えることは重要だと思います。差別化につながります。見つめなおしのためにも、ショップカードをときどきつくり直しすることをおすすめします。

4.付録:効果を実感できていない、いくつかの作戦

 ここから付録です。「効くのかな」と思ったけれどあまり実感できていないものです。「試す回数が少ない」、「修正して試していない」ということもあると思います。いまのところということでご理解ください。

(1)パブリシティ(メディアにでる)

 「できれば散歩のテレビに出たい」ですね。行列が必要ですか。

 ニッチな飲食店です。珍しいので年に1~2回ぐらい、テレビや雑誌に登場します。「今度こそ、売上アップ」と経営者の方と期待します。しかし、過去、販売データが大きく動いたことがありませんでした。こちらからアプローチしたこともありますが、あまり反応がありません。
 テレビを見る一般人としての感想です。「その情報を信用しているのか」です。多くの人がSNSなどで、いっしょうけんめい真の情報と偽の情報をフルイにかけています。アンケ―ト調査にあったように「友だち・知人からの口コミ」情報を、さらに「ネットで検索して確認」していると思います。
 ある瞬間だけお店の前に行列ができても、その後、お客さまに来てもらえなかったら、あまり意味がないのではないでしょうか。

(2)手まきチラシ、ポスティング

 「スタッフのあき時間にやってもらう」。いまはどうなんでしょうか。

 すこし検討しましたがやっていません。ニッチな飲食店です。近くのお客さまに来てもらうことが最重要ではありません。
 広告代理店で働いていました。ポストに投げ込まれたチラシ広告をみて「この情報はお客さまに必要なのか」と思って見ています。ほぼ、無用な情報ですね。むしろゴミをすてる作業をしなければなりません。
 必要な情報はネットで探せばでてきます。さらに、ニッチな飲食店です。広い範囲で見込みのお客さまにお知らせする必要があります。ネットの情報を深めましょう。

(3)手書きのお手紙、ダイレクトメール

 「大切だよね。やってないけど」ですね(^_^)。やるのは大変ですね。

 なんどかやってみましたが、手ごたえを感じていません。よく来られるお客さまとの交流は大切です。でも自筆のお手紙をもらったら「重い」と思います。
 さらに、ハガキ、お手紙を書くのには時間がかかります。ダイレクトメールなら費用もかかります。開封率をあげるために、ちょっとボコボコしたものを入れるとか、開けやすいリーダーのついたものにするなどたくさん手法もあります。
 しかし、いまはお客さまは自分で情報を見つけ出します。わざわざ、お客さまの耳元で大声だすようなお知らせや広告は必要ないと思います。

5.究極の作戦はたくさんのアイデアを試す

 お店には、それぞれにいろいろな事情があります。作戦はケースバイケース。私の経験もわずかです。どれが効果的なのか、そうではないのかはわかりません。しかし、新しい作戦を試してみることが大切です。

 優先順位だと思います。目の前にあるカンタンなことからはじめてしまうのがヒトの常です。
『7つの習慣』で、ご存じの方も多いと思います。ふたつの軸で考えます。ヨコ軸は緊急度。タテ軸は重要度。いまと未来にとって重要なことを先にやりましょう。

 では、重要なことはどう決めるのか。オススメは13の作戦の最後に書いた「ショップカード」。小さなカード1枚。でもアタマを使います。お店の「売り」を考えることです。お店のブランドやコンセプトにあたる言葉。これを見つけ出すことがカギだと思います。

 作戦をたくさん考えて、たくさん試してみることが必要と書きました。好きな言葉は「千三つ」(^^)。辞書には『千のうち本当のことは三つしか言わない意。うそつき』とあります。アイデアも1,000考えて、そのうち3つぐらいはアタルかもしれないと思えば気がラクですよ(^^)。

参考文献:スティーブン・R.コヴィー 『7つの習慣』キングベアー出版

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