台湾料理店はもはやおなじみです。ニッチと言えないかもしれません。でも台湾料理店はこれまで以上に発展し、成長するはずです。集中的に出店するドミナント型戦略に可能性があります。
●これからさらに経済大国となる台湾
台湾からは東日本大震災のときに莫大な支援をいただきました。アニメやアイドルなど日本の文化にも好意的です。
少し前には日本の「シャープ」を台湾企業「鴻海(ホンハイ:鴻海精密工業)」が買収し救済しました。最近では台湾の半導体メーカー「TSMC」が日本に進出することになり話題になりました。また、昨今では中国との緊張関係が高まっていて毎日のようにニュースに登場しています。
台湾の面積は九州よりも少し小さく、人口は約2,360万人。九州・沖縄の8県で約1,250万人。台湾の人口密度の高さがわかります。
一人あたりのGDPは2万8,371ドル。日本は4万146ドルです。そして外貨準備高。日本は1兆3,443億ドル(世界2位)、台湾は5299憶ドル。世界第5位にあたる立派な成績です。
実質経済成長率もコロナ禍であっても3%前後で推移しています。経済の実力は敬服すべきものがあります。台湾経済はこれからさらに成長が見込まれます。
●台湾料理の魅力。世界を魅了するハイレベルの料理
さて、少し遠回りしてしまいましたが台湾料理についてです。タピオカミルクティー発祥の地。「台湾と言ったらコレ」ですか。まだまだありますね。日本人観光客が好きな「小籠包」や「肉粽(台湾風ちまき)」などもありますね。最近では「魯肉飯(ルーローハン)」も有名になってきました。
台湾には、もともと住んでいた人たちと1949年の中華人民共和国の成立とともに中国本土から移ってきた人たちがいます。これによって食文化も多様化しました。
台湾に移ってきた人たちがもちこんだ中華料理。4,000年の歴史があります。8つの料理体系があると言われています*。台湾料理は海峡をはさんだ福建料理の影響を受けています。また、戦前の日本統治時代に広まった日本料理の影響もあります。
多くの東洋料理の文化が集まって高いレベルの料理になっています。世界の観光客も台湾料理に注目しています。
東京のミシュランの星の数はトップクラス。しかし、台北の星の数は絶対数こそ少ないものの、人口換算すると世界のトップレベルです。実力があります。
*8大中華料理:山東料理・江蘇料理・浙江料理・安徽料理・福建料理・広東料理・湖南料理・四川料理
●これからの時代に必要なベジタリアン食「台湾素食」の魅力
注目すべき点は台湾のベジタリアンです。台湾人の約14%がベジタリアンです。世界でもっともベジタリアンが多いのはインドで約28%。これに次ぐ比率です。
世界のベジタリアンの人口は約6.3億人。毎年約1%増加しています*。気候変動の問題などから「肉を食べない」ということが大きなトレンドになっています。「ときどきベジタリアン」という人も増えるはずです。これからの時代にベジタリアン食の技術が必要になってきます。
台湾のベジタリアン料理は「台湾素食」として世界で知られています。海外からの観光客もこれを目当てに訪れる人も多いようです。台湾料理にはベジタリアンのためのメニューが多い。ここが魅力です。
*国土交通省観光庁 2018年
●集中(ドミナント型)出店による成功のチャンス
つまり、台湾料理店がこれから成長する理由は三つ。ひとつは台湾経済がさらに成長すること。もう一つは世界から評価される台湾料理のおいしさ。最後は台湾料理なら世界的に高まるベジタリアンの需要をつかむことができるからです。
提案はドミナント型出店戦略です。狭い地域に集中的に出店する戦略のことです。特に東京都心など人が多く集まるエリアでの集中化が必要です。
大きなビジネスで言えばセブン‐イレブンの出店戦略です。エリアを決めて集中的に出店しています。
飲食店では、自然発生的なものでしたが、高田馬場のミャンマー料理店がそうでした。同じように西葛西ではインド料理店が集中しています。なにより横浜中華街での成功があります。
このドミナント型出店戦略のよさは認知度が高くなることです。まとまっていることで大きく見えます。メディアに取り上げられることも増えます。
さらに近所の店と差別化するために、それぞれのお店が工夫することになります。特色あるお店が生まれ、それが「今度はあの店に行きたいね」という地域内での再来店につながります。さらに食材の供給などのサプライチェーンも効率的になります。
また同じ出身地の人びとが集まることで協力関係が生まれます。精神的にも物理的にも大きな効果があります。台湾の場合には仏教という宗教的な共通言語をもつことも強みです。
ビジネスや経済に強い台湾。ドミナント型出店戦略で多くのお客さまを引きつける台湾料理店群が、東京の中心地のどこかにできると予測します。
2022年6月8日掲載 2024年6月14日改稿