The marketing for niche restaurants

ニッチ・ビジネスって、例えばこんなこと

ニッチ・ビジネスの具体的な事例をご紹介します。内容はマーケティングの神様といわれるF・コトラーの「競争地位別戦略」にもとづいて説明します。

1.市場のなかの4つの地位

ひとつの市場を市場占有率(シェア)によって4つに分類します。大きい順にリーダー、チャレンジャー、フォロワー、ニッチャーとなります。

 リーダーの戦略はすべてについて対応することです。チャレンジャーなどが新商品などで攻撃をしてきても、豊富な資金を使って同じような商品を出すことで、それを無力化することができます。
 また、シェア拡大のために努力することよりも市場全体が大きくなるほうがメリットがあります。そのため「野菜で健康に」とか「地球環境を守る」などの啓蒙運動や社会的な活動も行います。

 チャレンジャーはリーダーとの差別化でトップの地位をねらいます。チャレンジ精神が重要です。リーダーができないような販売の仕組みやサービスなどを開発してリーダーの地位を奪うことを目指します。びっくりするような商品や今までにないサービスシステムがでてきたら、チャレンジャーの場合かもしれませんね。

 フォロワーは、大きな野望をいだきません。リーダーと同じような商品やサービスを少しだけ安くして販売します。「トップブランドの商品は高いので、似たようなものであればいい」という人がいます。自分でも思いあたりますが、けっこうたくさんいます。それが大きな市場になっていて、フォロワーも利益確保ができます。

  ニッチャーの戦略は小さな市場での独自集中戦略です。リーダーにとっては、市場が小さすぎるので対応ができません。ニッチャーは独自製品を開発し、チャネルやターゲットを絞り込みます。
 よそに行っても買えない商品やサービスを提供するので、お客さまは少し高くても買いたいと思います。これによって高い利益率を確保することができます。市場規模や売上高が少なくても独自のポジションで生存することができます。

競争地位別戦略

2.コンビニのニッチャー「セイコーマート」

(1)リーダーは「セブン‐イレブン」

 コンビニ業界では「セブン‐イレブン」が売上高約4.5兆円(2016年度)でナンバーワン、リーダーです。「ファミリーマート」は「サークルKサンクス」と統合して売上高約3兆円(2017年2月期)で第2位、続いて「ローソン」が売上高約2.2兆円(2017年2月末)となっています。
 2社とも「セブン‐イレブン」に負けないように独自商品やサービスにしのぎを削っています。これらの2社はチャレンジャーということになると思います。

コンビニの競争地位別戦略
セブン‐イレブン、ローソン、ファミリーマート
(2)北海道に集中。「セイコーマート」

 ニッチャーはコンビニ業界でいうと「セイコーマート」です。主に北海道で展開しているコンビニです。東京や関西などの方は知らない名前だと思います。北海道の方ならコンビニといえば「セイコーマート」とすぐ頭に浮かぶはずです。

 「セイコーマート」は、3社に比較すると売上高は約1,800億円(2017年度)と圧倒的に小さな事業者です。店舗数は北海道内で約1,200店。「セブン‐イレブン」は道内で約960店、「ローソン」は約640店、「ファミリーマート」は約240店です。店舗を通じた販売チャネルという意味では「セイコーマート」は北海道でナンバーワン。リーダーといえます。

(3)道民向けの商品・サービス

 「セイコーマート」は独自商品、北海道メロンソフトなどを販売。ご当地ならではの惣菜・お弁当なども充実しています。北海道の人々の生活にあったオリジナル商品の開発は、全国チェーンではなかなかできないことです。

これが「セブン‐イレブン」などが北海道で売上げを伸ばせない「障壁」のひとつになっています。リーダー「セブン‐イレブン」の追い上げも激しいはずですが、ニッチャーというポジションを一度築くことができると、なかなか崩せません。
 また、独自商品、独自チャネルと絞り込んだターゲットにより、高い利益率を確保できます。高い利益率の確保はニッチ・ビジネスのキーポイントです。

北海道のコンビニ。セイコーマート
北海道で一番有名なコンビニ「セイコーマート」

3.ハンバーガーショップのニッチャー

(1)ファストフードのハンバーガーショップの場合

 「ニッチな飲食店のマーケティング企画室」なので、わかりやすいハンバーガーショップのケースでみてみましょう。下図の市場シェアも参考にしてください。

 リーダーは、もちろん「マクドナルド」ですね。チャレンジャーは「モスバーガー」になると思います。ちょっと待ち時間がある。ちょっと高いけれどおいしい。少し裏手の通りにお店がある。などリーダーの「マクドナルド」との違いをみせています。

 フォロワーは「ロッテリア」、「ファーストキッチン」などになると思います。商品、価格、お店の作り方など「マクドナルド」と似ています。リーダーが取りこめていないお客さまを確保しています。

市場はリーダーのマクドナルドの独占的な状態

 ニッチャーは「フレッシュネスバーガー」でしょうか。本格的なアメリカンテイストで他のハンバーガーショップとの差別化を図っています。
 ただシェアの大きさはニッチャーの規模ですが、商品・サービスやターゲット層の絞り込みはニッチャーではないのかもしれません。アメリカンテイストのイメージ、ハンバーガーなどの商品構成、おいしさ、新鮮など食材へのこだわりなど、他のお店と大きな違いがあまり見つかりません。むしろ、いつかは大きなシェアを獲得して、上位に入りたいと考えているのではないでしょうか。

ハンバーガーショップの競争地位別戦略
マクドナルド、モスバーガー、ロッテリア、フレッシュネスバーガー
(2)プレミアムハンバーガーショップの場合

 同じハンバーガーショップでも1,000円以上のちょっと高級なお店をご存じの方もいると思います。このようなお店は、プレミアムハンバーガーというカテゴリーで区分けされています。

 市場規模は約100億円。「マクドナルド」のようなファストフードショップの市場規模約6,200億円に比べると非常に小さいのですが、大きく成長している市場です*。

*外食産業マーケティング便覧2017 富士経済
プレミアムハンバーガー市場規模推移
ファストフードのハンバーガー市場と比較すると小さいが成長している

 ここでのリーダーはハワイアンのイメージのハンバーガーショップ「クア・アイナ」です。チャレンジャーはリーダーを追いあげている「シェイクシャック」、フォロワーは「ザ・サードバーガー」か「カールスジュニア」になると思います。

 さてニッチャーとなると難しいですね。ファーストフードのハンバーガーショップでは、ニッチャーとなる「その他」の店舗は、全体の5,000店舗強のわずか5%程度、300店舗弱です。
 一方、プレミアムハンバーガーショップでは、全体約100店舗の約50%、50店舗弱が「その他」になります*。ニッチなハンバーガーショップがたくさんあるということですね。おそらく店主の方が工夫した自慢のハンバーガーを提供しているのだと思います。

*外食産業マーケティング便覧2017富士経済および各社Webサイトより
プレミアムハンバーガー市場のシェア
「その他」の店は売上高は約27%だが、店舗数では約50%になる
プレミアムハンバーガーショップ
クア・アイナ、シェイクシャック、ザ・サードバーガー

あきらかにニッチャーというプレミアムハンバーガーショップがあります。ブログでも紹介しましたが、ビーガンハンバーガーのお店です。
 ビーガンは完全菜食主義者とか脱搾取派ともいわれています。肉、卵、乳製品を使わない食事をする人たちです。このカテゴリーにはリーダーも追いかけてきません。まだまだ小さな市場で、特別な人たちが食べるハンバーガーだと思っているはずです。

 また、お客さまも「おいしい」などが目的で来店されるばかりではありません。動物への虐待を避ける、地球の気候変動への危機感など、空腹、おいしさという欲望を満たすこととは別の考え方で来店されていると思います。

ビーガンハンバーガー
ビーガンハンバーガーのお店、新宿の「アインソフリプル」

4.ニッチビジネスはちゃんと儲かるのか

 このようなニッチな飲食店がうまく経営していけるのでしょうか。街でニッチな飲食店を見つけると、看板や店のなかの様子など伺いながらいつも心配しています。仕事柄でしょうか心配症だからでしょうか。

 しかし、時々「すごい。もしかしたら…」と思うことがあります。コンビニ業界の「セイコーマート」と同じようにビジネスモデルとして成長したケースがいくつかあるからです。詳しくは別ページで。
 プレミアムハンバーガーのニッチャー「ビーガンハンバーガー」についても「もしかしたら…」と思います。時代性、消費者の変化を感じます。これも別ページのブログでレポートしました。詳しくはそちらをご覧ください。

 ニッチャーだからと心配するケースも多いのですが、時代やトレンドを読み込んで、しっかりとお客さまをつかんでいくと必ず成長すると思います。中小の事業者であれば、むしろコンセプトがしっかりとしたニッチャーのほうが将来性があると思っています。

「そんなお店をサポートいたします」って、ここでコマーシャル(^_^)。

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