店の外と店内のツールの話です。看板とかメニューブックなどです。前述ネットメディア(オンライン)に対して紙メディア(リアル)などともいいますね。
1.もう1枚の看板。「今日のニュース」
店の前にA看板あると思います。「本日のスペシャル」や「ランチメニュー」などの看板です。さらにもう1枚のA看板を置くということです。店のニュース専用の看板です。
新規のお客さまは口コミや食べログなどのネット情報で来店されます。しかし店の前で看板を見て来店するお客さまもいます。メニューの情報だけでなく店からのニュースや情報が役に立ちます。「なんか面白そう。入ってみようか」と。
ニュースならインスタなどのSNSの記事でも知らせることができます。しかし店の前を通る人に伝えるほうが効果的です。SNSの記事はスマホに一瞬浮かびあがったあと、激流のSNSの川の中に沈んでしまうからです。
当室の調査でも新規のお客さまの約15%が「店の看板を見て」と答えています。
「ニッチな飲食店」ならばニッチに関するニュースが豊富にあるはずです。店のメニューもいいですが、ニッチに関する情報のほうが面白いはずです。
オフィスで働く人、近くに住んでいる人など店の前を通る人は毎日看板を見る可能性があります。いつも同じ看板では心がひかれません。店からの新しいニュースがあって、それが気に入れば、そのまま来店してもらえます。
ニュースがあるとお客さまは「発見!」と思ってくれます。発見があれば入ってみたくなるのが人情です。
2.小さなチラシ。店には物語がある
店に関するすべての情報が入った小さなリーフレット(チラシ)です。「なんだ?この店」と思った人に持ち帰ってもらうものです。
店のメニュー、電話番号や営業時間など掲載したいことがたくさんあるかもしれません。しかし重要なのは、この店の「物語」です。「ニッチな飲食店」には物語、ストーリーがあるはずです。なぜこの店ができたのかです。
「はるか遠い国から日本にやってきた」。「この食材にほれ込んで会社を辞めて店をはじめた」。「こんな飲食店があったら喜んでくれる人が必ずいると思った」。
そこには、その店をはじめた人の物語もあるはずです。その「人」についても紹介する必要があります。「こんな人が、この店にいるのか」。店にいる人がどんな人かわかればはじめての店でも興味がわきます。はじめてでも安心して入れます。
3.ショップカード。思い出してもらう
店名や電話番号、地図があるぐらいのショップカードならあまり意味がありません。一度来店されたお客さまに、また来てもらうためのものです。
店のパンフレットの超短縮バージョンです。バッグの奥に隠れていたら、財布の片隅で眠っていたら、名刺入れの一番下にあったら。「この店行ったよなぁ」と思ってもらえます。店を思い出してもらえない限り再来店はありません。
印象的で美しいデザインのショップカードにしたいですね。ショップカードのデザインを集めた本も出版されています。それだけ重要なツールということですね。
4.店の前も中もツールでにぎやかにする
店はにぎやかなほうが良いと思っています。
美しく整った店がいいという考え方もあると思います。ガチャガチャといろいろなツールがあると店としてのブランドが傷つくこともあります。しかし売上をアップさせるということではにぎやかなほうが良いと思います。
「アレなんだ?なにかあるぞ」とわかると遠くからお客さまが寄って来てくれます。釣り人はキラキラする赤や黄色の疑似餌で魚を呼び寄せます。同じです。釣果のポイントは海の中でどうやってエサを目立たせるかです。
新宿駅の地下。「ベルク」という人気の喫茶店があります。ご存知の方もいるかもしれません。店は「店全体ツールだらけ」です。どちらかというと「ツール全体、店だらけ」。店長の井野朋也さんは『新宿駅最後の小さなお店ベルク』(井野朋也 ブルース・インターアクションズ 2008)という本のなかで以下のように述べています。
POPのでき映えが、商品の出る数を、つまり、店の運命を左右するのは事実です。それにしてもちょっと壁にPOPを貼り過ぎで品がないじんじゃないの?という意見もありますが、これを外せば外すほど、実際に客数(商品の出る数)が落ちるのです。(P177)
A看板、ニュース看板、のぼり、ポスター、バナー、POP…。ひらひら、キラキラ遠くから目立つことで効果が生まれます。
5.メニューブック。説明なしではわからない
高級フレンチレストランなら写真も説明も不要です。お客さまはお金もちで、よく来店するので「鴨のオレンジソース」も「オマール海老のパイ包み焼き」もすでに知っているのが前提です。…私は知りませんが。
しかし「ニッチな飲食店」の料理はメニューの名前だけではわかりません。「ニッチな飲食店」にはじめて来たお客さまはメニュー選びで迷ってしまうはずです。どんな料理かわからなければ注文もできません。
メニューブックにはメニューの写真が必要です。さらにどんな食材で、どんな調理法で、どんな味付けなのか少しだけでも説明が必要です。
「人気メニュー」や「シェフのおすすめ」もあると、さらに親切。お客さまが選びやすくなれば注文の数も増えるはずです。
この売上アップ作戦は実際の店支援の経験や学びから記述しています。新しい発見があればまた変更します。ご了承ください。
2024年9月13日掲載