The marketing for niche restaurants

売上アップ作戦(1):メニュー編

 ここまでの経験や実際の店の支援で効果があった作戦(戦術)を紹介します。「ニッチな飲食店」のための作戦ですが、一般の飲食店でも有効かもしれません。

1.看板メニュー。この店ならこのメニュー

 「この店に来たら、これ食べなくちゃ」と言われるメニューが店の看板メニューです。看板メニューがあると、まだ来たことのないお客さまが「あの店の、あのメニューを食べてみたい」と考えます。それが来店動機になり、新規のお客さまを獲得できます。
   
 一度来たお客さまにも看板メニューを覚えてもらい、それを思い出してもらう必要があります。思い出さなければ次の来店はありません。
   
 「ニッチな飲食店」なら特に看板メニューが必要です。「ニッチな飲食店」に広告予算はありません。看板メニューを決めて、知らせて、覚えてもらうことでお客さまに来てもらいます。
 
 ニッチで興味をもってもらえるかもしれません。しかし「行きたい」と思ってもらうためには看板メニューが必要です。
 
 看板メニュー、たとえば「新宿中村屋」なら恋と革命の純印度式カリーです。ランチタイムはほとんどのお客さまが注文しています。赤坂「四川飯店」なら陳建民の麻婆豆腐でしょうか。有名店でなくても人気店には必ず看板メニューがあります。
 
 ニッチな飲食店に来てもらうためには「この店ならこのメニュー」の看板メニューが必要です。

2.「新メニュー」。売上アップの切り札

 「当然だ」と思ってらっしゃると思います。それでも声を大にして言いたい施策です。いくつか理由があります。

(1)売上アップへの貢献

 新メニューで売上が1~2%アップする場合があります。これが継続すれば成功です。次の新メニューを投入すればさらに数%の売上アップが見込めます。さらに「その次も」となります。

 元祖メニューで現在まで続く人気店は新メニューを連続的に出しています。銀座「煉瓦亭」、赤坂「四川飯店」、渋谷の和風スパゲッティ「壁の穴」…。その地位は現在も不動です。

(2)「ニッチな飲食店」は新メニューが出しやすい

 イタリアンや中華料理の店で新メニューはかなり工夫が必要です。スパゲッティやチャーハンの新メニューのアイデアは出尽くしているかもしれません。

 しかしニッチな飲食店ではニッチを利用すれば、比較的楽に新メニューがつくれます。支援しているアジアンレストランでは現地で流行しているメニューを取り入れて新メニューにしました。これだけで本邦初の新メニューです。

(3)新メニューは店のニュース

 店の変化は注目されます。いつものお客さまも「新メニュー」であれば興味をもってもらえるはずです。来店動機になります。

 「お、新メニューがでた」「あれ、消えちゃった」。売上アップのために七転八倒している店にはなんだか愛情がわきます。がんばっている店を応援したくなるのが人情です。

 ニッチな飲食店のお客さまの多くは新規顧客です。一度店に行くと安心してしまい二度目の来店が少ない傾向にあります。しかし「新メニューができた」というニュースを聞くと、もう一度行ってみたくなるはずです。新メニューを開発したら、ニュースとしてお客さまに知らせることが重要です。

(4)新メニューを元祖メニューにする

 最後は前述の戦略「元祖のメニューをつくる」としてお話しした内容です。

元祖メニューと言われるような新メニューができれば永遠の人気店として未来が約束されます。そのメリットは金のたまごを生むガチョウを手に入れることと同じぐらいの価値があります。元祖の店には「一度行ってみたい」と思う人がたくさんいるからです。
  
 「ニッチな飲食店」なら、お客さまが想像できない新メニューを出すことができます。元祖メニューを出すチャンスがあります。

3.「健康メニュー」。腸活に注目

 これからの注目ポイントは「健康」。「おなかいっぱいおいしいものを」の時代は終わりかけています。テレビでも雑誌でも健康に関する番組や記事が注目されています。

 しかし痩せるための「ダイエット」は健康のテーマではありません。OECDの調査でも日本人の肥満率(肥満を含む太りすぎの割合)はOECD諸国でもっとも低い数値です。ダイエットの訴求は日本人には効果がありません。

 一方アメリカでは肥満率が70%を超えています。ダイエットが必要なのはアメリカやヨーロッパ諸国です。
  
 健康訴求なら、たとえば「腸活」です。健康食品で購入されている商品の多くは「お通じ」です。女性をはじめ多くの人が気にする永遠の健康テーマです。これに「腸活」で効果があることがわかってきています。

 腸活のポイントは発酵食品、食物繊維、野菜です。発酵食品はみそ、しょうゆ、酢、甘酒、漬け物、納豆、ヨーグルト、チーズ…。まだまだたくさんあります。これで腸内環境を整えることができます。

 健康メニューを新しくつくるのではなく、ワンポイントで食材について「発酵食品」「食物繊維」「野菜」などのコメントをメニューに乗せてみるのはどうでしょうか。

 「定食には当店手づくりのきゅうりのぬか漬け(発酵食品)がついています」「本日のサラダは食物繊維豊富なブロッコリーと豆のサラダです」。

 最近増えている「発酵食品専門店」や「野菜サラダ専門店」のようなメニューを用意しなくても十分健康訴求の効果があるはずです。

 食物と健康に関しての研究は継続的に進んでいます。専門の健康飲食店は今後も増えていくはずです。健康テーマは注目し続ける必要があります。

発酵食品専門店、納豆専門店、野菜サラダ専門店

4.「おすすめメニュー」。売れているメニューを知らせる

 サイゼリア創業者、正垣泰彦(しょうがき やすひこ)の著書タイトルは『おいしいから売れるのではない。売れているのがおいしい料理だ』です。納得できますね。売れているメニューをお客さまにおすすめしましょう。

 初めて「ニッチな飲食店」に来るお客さまは珍しいメニューの選択に迷います。知らない料理を選ぶのは大変です。店がすすめるメニューや人気メニューなら安心できます。

 店にとってもメニューが集中することで食材ロスが減少し、提供のオペレーションの効率性があがります。

 おすすめの数はメニュー全体の2割ぐらいがいいと言われています。「おすすめ」と表記するだけでなく「当店人気ナンバー1」「シェフが食べてほしいメニュー」「ご当地名物メニュー」「当店サラダのベストメニュー」などバリエーションもあると選びやすくなります。

 「おすすめ」をメニューブックに入れるだけでなく、おすすめを集めてテーブルポップにするのも役立ちます。支援しているレストランのベスト10ポップもよく口コミの写真に登場します。もちろんホームページにも掲載したいですね。

この売上アップ作戦は実際の店支援の経験や学びから記述しています。新しい発見があれば変更します。ご了承ください。
2024年9月13日掲載

 

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