The marketing for niche restaurants

「ニッチな飲食店」は人が望むことを実現する飲食店になる

少し長くなりますが、当企画室が考えるニッチな飲食店の
未来のあるべき姿について説明させていただきます。
結論は時代の要求にあわせて食べる満足だけではなく、
人間が求める社会的な次元の高い要望を満足させる
飲食店になるべきだと考えています。

1.食べることの価値のひろがり

 ヒトは毎日食事をします。
しかし、食事はお腹を満たすことだけが必要なわけではありません。
楽しい時間を過ごしたい、新しい発見をしたい、健康なカラダになりたい…。
食べることについて、私たちが気が付いていない価値がたくさんあります。

 街の飲食店は厳しい競争にさらされています。
オープンして1年もしないうちに閉店する店も数多くあります。
マーケティングでいう「市場の要求に合っていないお店」、
すなわちお客さまの希望するものに合致していないお店が
多いのだと思います。

 テレビや雑誌にとりあげられるおいしいお店、
飲食店サイトで評価の高いお店というような価値観や
考え方が時代にあっていないと思います。
お客さまが飲食店に求めていること、すなわち市場の要求は
思っている以上に先に進んでいるのではないでしょうか。

 お客さまは、おいしいものを低価格で、
あるいはお腹いっぱいに食べたい人ばかりではないはずです。
むしろ、そうではない人が増えてきているのではないでしょうか。

 例えば健康についてです。別途ページに記載がありますが⇒、
国内の加工食品産業の市場規模は約22兆円です。
トクホ(特定保健用食品)のような健康志向の食品と
サプリで売られている健康食品の市場は合計で約2.2兆円です。
誤解を恐れずに大雑把にいうと、
約10%の人は「健康」を強く意識して食事をしています。

 しかし、街を歩くと「健康志向の飲食店」を10店に1店の割合で
見つけることはできません。むしろ、ほど遠い状況です。
飲食店はお客さまの希望、
すなわち市場の要求にあっていないのではないでしょうか。
外食産業は社会の変化に気づいていない旧態依然の業態かもしれません。

2.お客さまの要求は、多様化した飲食店

 空腹を満たすことがお客さまの最初の要求であることは
間違いありません。生理的な欲求だからです。
しかし、現代の日本では空腹のためにだけ食事をする人は
いなくなったと言っていいと思います。

 下記の表は、ご存じの方も多いと思いますが、
モチベーション理論として有名なマズローの「5段階欲求説」の説明です。
ヒトは基本となる生理的欲求が満たされた後は、
安全や社会的な欲求を満たすことに関心が移っていきます。

 最近、オーガニックなど安全で安心な食材を使ったお店や
ペットといっしょに入れるお店などが増えてきています。
食事をするたびに開発途上国などに寄付が行われる社員食堂などもあります。
新しい考え方の飲食店は増えています。
なぜ新しいタイプの飲食店が増えるのかは、
下記のマズローの考え方をもとにしても理解できると思います。

欠乏動機 1.生理的欲求 食物、水など人間の生存に関わる本能的な欲求を満たすこと
2.安全欲求 安全・安心な状態、危険を回避したいという欲求を満たすこと
3.社会的欲求 集団や社会への所属、他者との愛情を充足する欲求を満たすこと
4.尊厳の欲求 他者からの尊敬、他者よりも優れていると認識したいという欲求を満たすこと
成長動機 5.自己実現欲求 自己の向上や潜在的能力を実現したいという欲求を満たすこと
3.ニッチな飲食店が多様化に対応する

お客さまは「おいしく、おなかいっぱいに」だけではなく、
多様化という新しい段階に進んいます。
多様化した要求に応えるためには市場を細分化し、
そのカテゴリーに属した飲食店が必要になります。

 これまでの大手外食チェーンのような、大量生産の
ビジネスモデルでは、細分化した市場に応えるのは困難です。

 ニッチな飲食店が必要です。
細分化したカテゴリーの飲食店、
別の言葉でいうとちょっと変わった飲食店が求められています。
明確なコンセプトを持ち個性的で小規模な飲食店こそ、
これからの社会のために必要な飲食店だと思います。

<ニッチな飲食店の例>
ここでいうニッチな飲食店の具体的なカテゴリーとそのお店の業態は以下のようなものです。

欲求段階

カテゴリー ニッチな飲食店の業態例
生理的欲求 限定食材飲食店 にんにく専門、パクチー専門などの飲食店
特定料理専門飲食店 スープ専門、さば専門、みそ汁専門などの飲食店
特定技術飲食店 ふぐ料理専門の飲食店
生理的欲求

 

健康志向飲食店 オーガニック、マクロビ、野菜専門などの飲食店
疾患症状対応飲食店 アレルギー対応、生活習慣病予防などの飲食店
特定目的飲食店 ビーガン料理、ハラル料理などの飲食店
社会的欲求 趣味愛好家飲食店 ペットカフェ、スポーツカフェなどの飲食店
特定地域飲食店 エスニック料理、地域限定料理などの飲食店
尊厳の欲求 体験型飲食店 イベント、ショー的な要素などのある飲食店
自己実現の欲求 参加型飲食店 クラウドファンディング支援、寄付型などの飲食店
4.ニッチな飲食店のメリットは差別化

 ニッチな飲食店は一般の飲食店と比較すると、
どんなお店かわかりやすく、よく目立ちます。
マーケティング的にいうと「差別化」ができているといえます。
したがって、やるべきことは明快です。
お客さまにお店の特徴をいかに伝えるかが大切になります。

 また、同業が少ないことから、飲食店にありがちな
近隣のお店との厳しい競合がありません。
低価格競争やサービス競争をしなくてもよいということです。

 さらに、ニッチであれば雑誌やテレビなどで取り上げられることもあり、
パブリシティ効果で人気店になることもあります。
ただし、一時的なブームで終わる場合もあります。

 いずれにしろ、「差別化」について悩まなくていいというのは
得難いものです。ビジネスの上の大きなメリットです。

5.ニッチな飲食店の問題点はお客さまが少ないこと

マーケティング的な表現では市場規模が小さいということです。
問題点と解決策としての課題についてまとめると以下のようになります。

(1)大きな商圏が必要になる

 お店に興味を持ってくれるお客さまが近くに十分にいないのです。
したがって広い地域からお客さまを集める必要があります。

 この問題を解決するためにはどうにかして
お店のことを知ってもらい、来店してもらう必要があります。
すべての飲食店で共通の課題ですが、特にニッチな飲食店では
近所にチラシを配って解決というわけにはいきません。
広い範囲からお客さまを集める必要があるので難題です。

(2)小さなお店には人手も資金もない

 ニッチな飲食店の場合、人手も少なく情報を集めることも大変です。
企業の場合は、ヒト・モノ・カネ・情報という資源が十分ありますが、
小さなお店の場合はこれがありません。

 非力であるお店が手間をかけずに情報を収集し、
費用をかけずに対策を行うことは難しいことです。

(3)お客さまの確保が難しい

 一般のお店の場合は、新規のお客さまが来店し、
次からリピーターとして来店することで売上げの増加に結びつきます。

 リピーターは減少するのが常なので、新規のお客さまを
何らかの方法で獲得することが課題になります。

 ニッチな飲食店の場合、その営業内容によっては
新規のお客さまばかりという場合もあります。
来店理由は「雑誌で見たから」「珍しい」からなど。
このような場合は、2度目の来店は少なくなります。
 
逆に、リピーター、いわゆる固定客のお客さまばかりで、
新規のお客さまは入りにくいというようなお店もあります。

 課題はターゲットとなるお客さまの見極めです。
どのビジネスでも最重要ですが、ニッチな飲食店では特に重要です。

6.次の時代のニッチな飲食店の姿

これから先、増加が予測されるニッチな飲食店について、
マズローの5段階欲求説に基づいて考えてみます。

(1)健康増進のための飲食店

 まずは安全や安心に関する飲食店の需要が高まると思います。
特に、健康に関連する飲食店は増加するはずです。
国民医療費は現在40兆円を突破しています。
爆発的に増加する国民医療費に国や厚労省は悩んでいます。
家庭内では健康への関心は高まり、
野菜や健康志向の食品などを食べる傾向は高まっています。

 一方、外食産業では、この取り組みが遅れています。
低糖質メニュー、野菜たっぷりメニューなども出てきていますが、
組織的な取組やそのための枠組みがまだできていません。
 
 国民医療費の増加を押さえたいと考える国の意向も高まり、
これから官民そろって外食産業での健康への取り組みが進むと思います。

(2)他人からの注目を集めるための飲食店

 仲間から認められたい、尊敬を集めたいという
お客さまを満足させる飲食店が増加するはずです。

 すでに、見た目が面白いなどインスタ映えする
メニューを出すお店などには人気が集まっています。
写真をアップして「いいねをいっぱい集めたい」と思っています。
ここでは、おいしいとか健康的であるということはあまり気にしていません。
まわりから認めてもらえることが目的だからです。

 また、居酒屋さんの最近の流行はオープンキッチンです。
お客さまがカウンターから調理を見ながら、
シェフや居酒屋の店主となにげなく会話を交わすことが
売上増加のポイントになります。
鉄道ファンが集うお店でもそうかもしれせん。
お互いに会話することで関係が深まります。

 そのことで自分の存在を確認することができます。
ヒトは集団のなかで、存在を認められることで
安心できる動物だからです。

(3)自己実現のための飲食店

 自己実現のための飲食店はニッチな飲食店のなかでもニッチです。
意義ある飲食店の運営、何らかの形での経営参加など
自己実現の欲求を満足させるお店です。
 
現在でもソーシャルファンディングや
ソーシャルビジネスという形で参加が可能です。
かなり人気のお店も出てきています。
今後、このカテゴリーの飲食店がさらに増加すると思います。

7.次の時代のニッチな飲食店の課題解決の3つの方向性

難しい課題ですが、解決するには以下の3つの考え方が大切だと思います。

(1)お店の「特徴」をさらにわかりやすく

お店の特徴をよりわかりやすくするために何をするかが重要です。
ニッチな飲食店であればメニューが最もわかりやすいものです。
それを食べればこの店がなんの店かすぐわかると思います。

 お店のイメージとなり内装などの
デザインなども特徴を良くあらわします。
またサイトやSNSからの情報発信でも
お店の特徴を良く理解してもらうことができます。

 ターゲットとなるお客さまとなんらかの
「体験」を通じてきずなを強めます。
ただし、真のお客さまとは誰なのかを
しっかりと把握することが前提です。

 マーケティングでは、お客さまとのきずな(関係性)を
強めることが売上増加の鉄則。
ちょっとしたお話しをする、にこやかに挨拶をする、
メールを送る、手紙を送るなど簡単なことから、
時にはお店のイベントに招待するなどによって、
きずなを強めることができます。

 売上高をお店の総売上高としてではなく、
お客さま一人ひとりの売上の総額だと考える必要があります。

(3)デジタルを使ったマーケティング活動を行う

 多様な機能をもつソフトが無料や低価格で利用できるようになりました。
Webやデータを活用して、
デジタル・マーケティングとよばれる活動を行う必要があります。

 人手が少ないニッチな飲食店でもデジタル・マーケティングで
大きな効果を得ることができます。
POPにSNSの登録用のQRコードを入れておくなど
従来の店頭や店内での販売促進活動とデジタル・マーケティングを
結び付けて施策を行っていくことが重要です。

8.まとめ

(1)これまでの飲食店のあり方を転換すべき時代になっている。
(2)小さいニッチな飲食店が将来的に社会のニーズを満たす。
(3)デジタル・マーケティングなどの活用で課題を解決する。

 ニッチな飲食店が次の時代の飲食店を担っていくことを信じています。
そのために常に新しいことを試し、実行していく必要があると考えています。

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